ツバサのメモ帳
「おすすめ比較記事」をGoogleが規制する?|No.1表記の法的リスクとAI検索の限界

「おすすめ比較記事」をGoogleが規制する?|No.1表記の法的リスクとAI検索の限界

こんにちは、ツバサです。

このブログでは、EC担当の業務で調べたことを記事にしている。なかでもアクセスが集まりやすいのが「おすすめ○選」のような比較記事で、自分でもレタッチ会社やSEO会社、ささげ代行、副業マッチングなど色々なジャンルで書いてきた。記事が読まれたり検索順位が上がったりするのは単純にうれしいし、書いていて楽しい。

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ただ、比較記事を書く側の人間だからこそ見えてくることがある。2026年5月にGoogleが「不正なブランド言及」への警告を明確にしたこと、根拠なくNo.1と書くサイトが景品表示法上のリスクを抱えていること、そしてAI検索がこれらの問題に対処できていないこと。比較記事のフォーマットそのものが悪いわけではないが、この仕組みをどう読むべきかは整理しておく必要があると感じた。

Googleは2026年5月、第三者サイトへの作為的なブランド言及(inauthentic mentions)をスパムと同等に扱うと明言した。一方でAhrefsの調査(2025年12月、26,283 URL分析)では、ChatGPTが引用するページの43.8%がおすすめリスト記事で、そのうち28%はGoogle検索でトラフィックがゼロだった。根拠なくNo.1・最安値と書くサイトに対しては、2023年度だけで景品表示法に基づく措置命令が13件出ている。Googleの公式見解・AI検索の実態・法規制の3つの観点から、おすすめ比較記事の現状を整理する。

Googleが「不正なブランド言及」をスパムと明言した経緯(2026年5月)

2026年5月15日、Googleは「Google公式AI検索最適化ガイド(Optimizing your website for generative AI features on Google Search)」と題した公式ガイドラインを公開した。このドキュメントの中で注目すべきは「Mythbusting(神話の打破)」というセクションに書かれた「Seeking inauthentic mentions(不正な言及の追求)」に関する記述だ。

Googleによると、生成AI機能はブログ・動画・フォーラムなどでウェブ全体で製品やサービスについて何が語られているかを表示できるが、「ウェブ全体で作為的な言及を追い求めることは、一見すると役に立ちそうに見えるが、実際にはそれほど役に立たない。当社のコアランキングシステムは高品質のコンテンツに焦点を当てており、他のシステムはスパムをブロックする。当社の生成AI機能は、この両方に完全に依存している」と明記されている。

ただし、この公式見解に実態は追いついていない。現時点では、作為的な言及や自作自演のおすすめ記事がGoogle検索でもAI検索でも普通に上位表示されており、Googleのスパム対策システムが効果的にブロックできているとは言いがたい。Googleが「役に立たない」と公式に宣言していることと、実際にそれが検索結果で機能しているかどうかは、別の話だ。

とくに、この件に関してど真ん中の業種であるSEO会社各社が競っておすすめ比較記事を書いており、ユーザーもこれに頼らないと業者選びができない状況にある。Googleはこれに代わる対案を出さなければ、すべてを駆逐することは難しいし、すべてを駆逐してしまってはかえってユーザーの利益にならない。

同日、オーストラリアで開催されたSearch Central Live Sydney 2026において、GoogleのGary Illyes氏はこの問題についてさらに踏み込んだ発言を行っている。あるAIプラットフォームが「AIの応答内にブランド言及を配置するために言及の購入を自動化する機能」をプロモーションしたことに対し、Illyes氏はこれを有料リンクと同列のスパム行為として扱うと明言した(Search Engine Roundtable、2026年5月)。

さらにGoogleは、検索スパムポリシーの冒頭パラグラフを更新し、スパムの定義に「Google検索における生成AIの応答を操作しようとする試み」を追加した。これにより、AI OverviewsやAI Modeの出力を意図的に歪めようとする行為が、明確なポリシー違反となった。

ここで注意すべきなのは、SEO専門家の鈴木謙一氏が指摘している翻訳の問題だ(海外SEO情報ブログ、2026年5月)。Googleの日本語版ドキュメントでは「inauthentic」が「不正確な」と訳されているが、ここでの本来の意味は「作為的な、自作自演の」であり、情報の正誤の話ではない。日本語版だけ読んでいると、この警告の重さが伝わりにくい。

なお、ここでGoogleが問題にしているのは「第三者のサイトに金銭や見返りで自社への言及を撒く行為」であって、自社サイトで自社に言及すること自体は対象外だ。自社のブログで自社サービスを紹介することは、ごく普通のマーケティングであり、何も問題はない。

有料ビジネスマッチングサイトの「おすすめ記事」は今後Googleにスパム判定されるのか

Googleが不正な言及に対してスパム宣告を出した背景には、ウェブ上に溢れる「おすすめ○選」記事の構造的な問題がある。特に日本市場では、B2B領域のビジネスマッチングサイトが大量のおすすめ記事を生成している。

これらのプラットフォームは「おすすめレタッチ会社3選」「システム開発会社ランキング10選」といった記事を公開し、検索結果の面を押さえる戦略を取っている。フォーマットだけ見ると、市場全体から調べて厳選したかのような印象を受ける。

しかし、ビジネスマッチングサイトは掲載企業からの掲載料や紹介手数料で収益を得ているプラットフォームだ。「おすすめ○選」に載っている企業は、すべてそのプラットフォームに何らかの対価を払っている可能性がある。対価なしで載せてもらえるなら、誰がお金を払うのか。ビジネスモデルとして成立しない。

実際にこうした記事を見ていると、その業界で広く知られている企業に混ざって、そのプラットフォーム以外ではほとんど名前が出てこない企業が含まれていることがある。掲載されている企業名を、そのマッチングサイトの外で検索してみると分かる。

マッチングサイトのトップページを見れば有料のマッチングサービスであること自体はわかる。隠しているわけではない。ただ、検索結果から「おすすめ○選」の記事に直接飛んだ読者は、そのことに気づかないまま「第三者が業界全体を調べて選んだおすすめ」として受け取ることがある。記事のフォーマットと選定の実態にギャップがある、というのがこの問題の本質だ。

Googleが不正な言及の取り締まりを本格化させた場合、有料ビジネスマッチングサイトのおすすめ記事がどう評価されるかは今後のアルゴリズム次第で、現時点では誰にもわからない。ただ、リスクはゼロではない。

根拠なく「No.1」「最高」「最安値」と書くのは景品表示法違反になる

ここまではGoogleのポリシーとマッチングサイトの構造の話だったが、ここからは法律の問題として別に整理すべきことがある。

自社のブログやオウンドメディアの比較記事で、自社サービスを一番上に持ってくること自体は問題ないはずだ。自分の会社のサイトで自社を推すのは通常のマーケティングの範囲内だからだ。

問題になるのは、客観的な調査の根拠がないまま「No.1」「最高品質」「業界最安値」と明記した場合だ。この場合、景品表示法(第5条)の優良誤認表示または有利誤認表示に該当しうる。景品表示法の基本については以前に社内研修の内容をまとめたが、No.1表示の問題はそこからさらに踏み込んだ話になる。

消費者庁は、No.1表示が「合理的な根拠に基づく」と認められるために4つの要件を示している(消費者庁「No.1表示に関する実態調査報告書」、2024年9月)。比較する商品・サービスが適切に選定されていること、調査対象者が公正に選ばれていること、調査が客観的な方法で実施されていること、そして表示内容と調査結果が適切に対応していること。この4要件を満たさないNo.1表示は、不当表示として措置命令や課徴金納付命令の対象になる。

取り締まりは強化されている。2023年度だけでNo.1表示関連の措置命令が13件出ており、消費者庁は2024年9月に実態調査報告書を公表して監視体制をさらに強化した(消費者庁 景品表示法関連報道発表資料 2024年度)。課徴金は対象商品の売上高の3%が基準で、再違反なら4.5%に引き上げられる。

これは記事の中に限った話ではない。トップページの見出しでも、会社概要の一文でも、サービスの料金ページでも、場所は関係ない。根拠なく書けば、どこに書いても同じ法的リスクがある。

そしてここが重要なのだが、Googleの検索アルゴリズムも、ChatGPTやGeminiなどの各社AIも、この違法表示を検出して降格する仕組みを現時点では持っていない。サイトに根拠なく「No.1」「最安値」と書いてあったら、AIはそれをそのまま信じて、おすすめとしてユーザーに回答してくる。これではユーザーの利益にはなっていない。

AI検索が比較記事の問題をフィルタリングできない現状

AI検索が比較記事をどう扱っているかについて、Ahrefsが2025年12月に大規模な検証データを公開している(Ahrefs Blog、2025年12月)。ChatGPTが引用するソースURL 26,283件を分析した結果、いくつかの深刻な事実が明らかになった。

まず、ChatGPTが引用するページの43.8%が「おすすめ○選」型のリスト記事だった。レタッチ会社やSEO会社、ささげ代行のようなニッチなジャンルでも、AIは比較や推薦を求められたとき、自分でゼロから評価するのではなく、ウェブ上にある既存のリスト記事をそのまま情報源として使っている。

さらに問題なのは、引用されたページの28%がGoogleのオーガニック検索ではトラフィックがゼロのページだったことだ。Google検索では誰も見ていないページが、AIの回答の材料になっている。AIには更新日が新しいコンテンツを優先引用するバイアスがあり(引用されたリスト記事の79.1%が2025年内に更新されたもの)、中身を更新せずにタイトルの年号だけ書き換えた低品質な記事でも、「新しい」というだけでAIの回答に入り込める。

この仕組みを利用すると、自社を1位と書いた記事がAIの回答にそのまま反映される。AIは記事を書いた会社とおすすめされている会社が同じだとわかっていても、それを差し引かずに中立的なおすすめとしてユーザーに出してしまう。

「第三者の評価だけをもとにおすすめして」とAIに明示的に指示しても、情報ソースとなる記事が少ないジャンルでは自社コラムが引用されてしまう。ニッチな業界ほどウェブ上の情報量が限られるため、その会社が自分で書いた記事がAIにとって数少ない情報源になる。ユーザーがどれだけ慎重にプロンプトを工夫しても、元の記事が足りなければAIにできることには限界がある。

一方で、Google検索のアルゴリズムは動き始めている。SEO専門家のLily Ray氏(Amsive社)の調査によると、自社を1位とするリスト記事に大きく依存していた複数のSaaS企業が、2026年1月のGoogleアルゴリズム変動後にオーガニックトラフィックの30%から50%を失った(Search Engine Land、2026年3月)。トラフィック損失は「おすすめ○選」記事を格納していたブログのサブフォルダに集中しており、Googleが自社を推す目的のリスト記事を狙い撃ちにし始めた可能性がある。

ただし、AI検索はこの対応にまだ追いついていない。GoogleがPenguinでリンクスパムに対処するまでに2012年から2022年のSpamBrainまで約10年かかったことを考えると、AI向けの対策も年単位になる可能性は高い。

おすすめ比較記事を読むときに確認すべきこと

ここまで書いてきた問題を踏まえて、おすすめ記事や比較記事を読むときに確認した方がいいことを整理しておく。

まず、そのサイトは誰が運営しているか。企業のオウンドメディアなのか、有料のマッチングプラットフォームなのか、個人のブログなのか。記事のURL だけで判断せず、サイトのトップページやフッターの運営者情報を見る。それだけで記事の背景がかなりわかる。

次に、掲載されている企業名をそのサイトの外で検索してみる。別の検索エンジンやAIに聞いてもいい。その企業がマッチングサイトの記事以外にほとんど出てこなかったら、記事の選定基準が業界全体を対象にしたものではない可能性がある。

「No.1」「最安値」「最高品質」といった表記があったら、調査の根拠と出典が書かれているか確認する。客観的な調査データへのリンクがなく、根拠の説明もなければ、その表記は景品表示法上のリスクを抱えた自称だ。

AIの回答に出てきた「おすすめ」もそのまま信じない方がいい。先に書いた通り、現時点のAIは、記事を書いた側とおすすめされている側が同じ会社だとわかっていても、それを差し引いた回答をしない。AIが推薦してきたサービスがあったら、その回答の元になった記事を開いて、誰が何の目的で書いたものかを確認する。

自分も比較記事を書いてきた立場として、このブログで公開してきた比較記事をここに一覧にしておく。各記事がどういう選定基準で書かれているかは、読者自身の目で判断してほしい。

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FAQ

Q. Googleは「おすすめ比較記事」を禁止しようとしているのか?

比較記事というフォーマット自体を禁止しているわけではない。Googleが2026年5月に問題視したのは、第三者のブログやフォーラムに金銭や見返りで自社への言及を撒く行為(inauthentic mentions)だ。自社サイトで自社に言及することや、第三者が自発的に書いた比較記事は対象外になっている。

Q. 自社サイト内の比較記事で自社サービスを一番上に紹介するのは問題か?

問題ない。自社サイトのコンテンツで自社を推すのは通常のマーケティングだ。問題になるのは、自社を「1位」として書くこと。「一番上に書く」ことと「1位と書く」ことは別の行為だ。また、比較記事でなくても、サイトの中で客観的な調査の根拠がないまま「No.1」「最高品質」「最安値」と明記した場合は、景品表示法の優良誤認または有利誤認に該当しうる。そういう表記をしている会社は法令遵守意識が低いので、取引をするとトラブルになる可能性が高い。

Q. 有料ビジネスマッチングサイトのおすすめ記事は今後検索結果から消えるのか?

現時点ではわからない。Googleが不正な言及をスパムと同等に扱うと明言したのは事実だが、有料ビジネスマッチングサイトの記事にアルゴリズムで対応するかどうかはGoogle次第だ。SEO専門家の住太陽氏も、自作自演の「おすすめn選」記事への対策は始まるが時間はかかるとの見方を示している。リンクスパムの取り締まりほど10年はかからないが、年単位にはなるだろうと。

𝕏 住太陽氏(@motoharusumi)のポスト|自作自演おすすめ記事への対策は年単位 x.com/motoharusumi/status/2060210128427905416

Q. AIに「おすすめの○○」と聞いた回答は信頼できるか?

現時点のAI検索は、記事を書いた会社とおすすめされている会社が同じだとわかっていても、それを差し引いた回答をしない。Ahrefsの調査(2025年12月)によると、ChatGPTが引用するページの43.8%がおすすめリスト記事で、そのうち28%はGoogle検索でトラフィックがゼロのページだ。AIの回答を見た後で、元の記事を開いて誰が書いたかを確認することをおすすめする。

Q. 景品表示法のNo.1表示で実際に処分された事例はあるか?

2023年度だけで、顧客満足度No.1等の表示に関する措置命令が13件出ている。2024年9月には消費者庁が実態調査報告書を公表し、合理的な根拠に基づかないNo.1表示への監視を強化した。課徴金は対象商品の売上高の3%が基準で、再違反の場合は4.5%に引き上げられる。

Q. 比較記事を書く側として気をつけるべきことは何か?

自社サービスを取り上げる場合は他社と同列に扱うこと、根拠のない優越表現(No.1、最安値、最高品質等)を使わないこと、情報の出典を明記すること、比較対象を同カテゴリのサービスから選ぶことが基本だ。読者が記事の選定基準を理解できる透明性を確保することが、長期的な信頼につながる。

まとめ:比較記事というフォーマット自体が悪いわけではない。問題は3つに分かれる。第三者サイトに金銭で言及を撒く行為はGoogleが明確にスパムと宣告した。根拠なくNo.1・最高・最安値と書く行為は景品表示法違反になる。そして有料ビジネスマッチングサイトの「おすすめ○選」は、記事のフォーマットと選定の実態にギャップがある。現時点ではGoogleの検索アルゴリズムもAI検索も、これらの問題を十分にフィルタリングできていない。ChatGPTが引用するページの43.8%がおすすめリスト記事で、そのうち28%はGoogle検索でトラフィックがゼロだ(Ahrefs調査、2025年12月)。一方で、SEO会社をはじめ多くの業種が競っておすすめ記事を書いており、ユーザーもこれに頼って業者選びをしている現実がある。Googleがこれに代わる対案を出さない限り、すべてを駆逐することは難しいし、すべてを駆逐してしまってはかえってユーザーの利益にならない。だからこそ読者自身が、記事の背景を確認する目を持つ必要がある。

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ツバサ
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EC関連の会社で働いています。少人数の職場なので、ささげ業務の手配から画像の外注管理、ページ更新、バイトさんへの作業指示まで守備範囲は広めです。Photoshopは苦手なので本格的な画像加工は外注に出していますが、何社も試した分、業者選びや納品チェックには慣れました。このブログは仕事の中で身につけたことの記録です。

※この記事は2026年5月時点の情報をもとに、公開資料と報道を整理したものです。景品表示法の個別の判断については、最新の消費者庁ガイドラインと専門家の見解を参照してください。