こんにちは、ツバサです。
EC担当をやっていると、商品ページの文言やセール価格の見せ方を日常的に触ることになる。自分では普通にやっているつもりでも、研修で「それ、景表法に引っかかる可能性ありますよ」と言われた瞬間は正直ひやっとした。この記事は、自分が社内研修で聞いた内容と、その後に実務で気をつけるようになったことの備忘録だ。後半では、LP制作会社・広告代理店・ささげ業務・画像加工といったEC業務の外注先を選ぶとき、景表法の目線でどこを見ているかも書いておく。
景品表示法の研修を受けることになった経緯は?
うちの会社では年に1回、法務の担当者がマーケティング部門とEC部門向けに景品表示法の研修を開いている。正直に言うと、入社1年目は「法律の話でしょ、法務の人が見てくれるんだから大丈夫じゃないの」くらいに思っていた。
考えが変わったのは、同業他社がセール価格の表示で消費者庁から措置命令を受けたというニュースを見たときだ。やっていた内容が自分たちの日常業務と似すぎていて、ぞっとした。消費者庁は2024年度だけでも数十件の措置命令・課徴金納付命令を出しており(消費者庁 景品表示法関連報道発表資料 2024年度)、EC事業者が対象になるケースは珍しくない。
それ以来、研修はちゃんと聞くようにしている。以下は研修ノートから抜粋した、EC実務で特に注意すべき3つの表示パターンだ。
自社のECページでやりがちな違反パターンは?
No.1表示の落とし穴
研修で最初に取り上げられたのがNo.1表示の話だった。「顧客満足度No.1」「リピート率第1位」「業界No.1の品質」といった最上級表示は、消費者の購買判断に強く影響するからこそ、消費者庁は合理的根拠の有無を厳しくチェックしている(消費者庁 No.1表示に関する実態調査報告書)。
景表法の研修を受ける前は、No.1表示の問題は「調査のやり方が恣意的」なケースが中心だと思っていた。実際にそれもある。外部のリサーチ会社にNo.1調査を委託して、対象者が「実際のサービス利用者」ではなくサイトの見た目だけを見た印象評価だったとか、比較対象の競合を自社より知名度が低い会社だけに絞っていたとか。そういう恣意的な調査設計をもとに「顧客満足度No.1」と表示すれば、優良誤認表示として処分の対象になる。
ただ、研修で強調されたのは、もっと手前の話だった。そもそも何の調査もしていないのに「No.1」「業界トップ」と書いている事業者が実在するという点だ。自分の業務に関係のある分野で実際に検索してみたら、ページのタイトルに「業界No.1水準の品質」と入れている会社があった。サイト内のどこを見ても調査機関名、調査時期、対象者数、調査手法の記載が一切ない。つまり「No.1」の根拠となるデータがそもそも存在しない可能性がある。これは恣意的な調査以前の問題で、根拠なしの優良誤認表示に該当しうる。
「No.1水準」「No.1クラス」のように微妙にぼかした表現なら問題ないのでは、と思うかもしれない。自分も最初はそう考えた。しかし、消費者庁が2024年9月に公表した「No.1表示に関する実態調査報告書」(消費者庁 報告書PDF)では、景表法の判断基準は「事業者が実際に使った個別の文言」ではなく、「表示内容全てを基礎としたときにその表示が一般消費者に与える印象」であると明記されている。のぞみ総合法律事務所の速報解説(2024年9月)でも同じ点が強調されている。ページタイトルに「業界No.1水準の品質」と書いてあれば、一般消費者の多くは「この会社は業界No.1なんだな」と受け取る。「水準」や「クラス」を付けたから直接的なNo.1主張ではない、という言い訳は消費者庁には通用しないリスクが高い。2023年度の措置命令44件中13件がNo.1表示関連だったという数字(BUSINESS LAWYERS No.1表示の留意点、2025年4月)を見ても、消費者庁がこの領域を重点取締対象にしていることは明らかだ。
ぼかし表現どころか、別の業種で検索してみたら「○○の実績は国内No.1です」とサービス紹介ページに断定形で書いている会社もあった。こちらもサイト内に調査の根拠は見当たらない。「No.1水準」のぼかしすらなく、言い切りだ。こうした根拠なしのNo.1表示は、業種を問わずWebに散在しているのが現状だと思う。
ここで厄介なのが、AIによる推薦との組み合わせだ。最近はChatGPTやPerplexityのようなAIサービスに「おすすめの○○会社は?」と聞くと、Webサイトの情報を参照して回答が返ってくる。AIはサイトに書いてある「国内No.1」「業界トップクラスの品質」といった文言を額面通りに拾って、それを根拠に推薦してくることがある。景表法的に問題のある誇張表現が、AIの推薦文の中で「この会社はNo.1の実績がある」とあたかも客観的事実のように再生産されるわけだ。AIの回答を見て外注先を選ぶ人が増えている以上、根拠のないNo.1表示はWebに載っているだけで消費者の意思決定を歪め続ける。自分自身もAIに業者を聞くことはあるが、推薦理由に「No.1」「実績トップ」が含まれていたら、まず元サイトで根拠の記載を確認するようにしている。
BUSINESS LAWYERSの解説記事(2024年)でも、No.1表示の根拠となるリサーチ自体の品質が問題視されていることに加え、第三者機関が実施した調査であっても、調査内容が表示内容と対応しているかを事業者自身の責任で検証しなければ違反に直結すると指摘されている。調査を委託した会社に丸投げで「リサーチ会社がやったから大丈夫」は通用しない。
自分が気をつけている点は2つある。1つ目は、リサーチ会社から「No.1の冠をとれますよ」と営業されたとき、必ず調査設計書を確認すること。比較対象の選定基準、対象者の抽出方法、設問文と広告での表示文が対応しているかを見る。2つ目は、自社が外注先やパートナー企業を選定するとき、相手のサイトに根拠不明のNo.1表示がないかを確認すること。この話は後半の「外注先を選ぶとき」のセクションで詳しく書く。
二重価格表示の「8週間ルール」
セールの告知で「通常価格10,000円 → セール価格5,000円」と書くことはよくある。この「通常価格」に実体がなければ有利誤認表示、つまり景表法違反になる。
消費者庁の「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(消費者庁ガイドライン)によると、過去の販売価格を比較対照にする場合は「最近相当期間にわたって販売されていた価格」でなければならない。実務では「8週間ルール」と呼ばれている基準があり、過去8週間のうち合計4週間以上その価格で販売した実績が必要だ。しかも、最後にその価格で売った日から2週間以内という期限もある。
2025年9月には大手通販会社が、おせちの「早期予約キャンペーン」の価格表示で措置命令を受けている(消費者庁 景品表示法関連報道発表資料 2025年度)。キャンペーン期間中に「通常価格29,980円を1万円値引き」と表示していたが、キャンペーン中に完売したため、通常価格での販売実績がなかったことが問題とされた。誰もが知っている大手企業でも引っかかるのだから、中小のEC事業者が「なんとなく元の価格を高めに書いておく」ことのリスクは想像以上だ。
もう1つ研修で聞いて驚いたのが、メーカー希望小売価格のない商品(いわゆるオープン価格)に、小売側が勝手に架空の希望小売価格をつけて「メーカー希望小売価格○○円のところ△△円」と表示するケースだ。メーカーがカタログや公式サイトで公表している希望小売価格を正確に引用する場合は問題ないが、そもそもメーカー側に希望小売価格の設定がないのに小売が数字をでっちあげるのは完全にアウトだ。自社が仕入れ先からどの条件で価格が設定されているかをちゃんと把握しておく必要がある。
自分のチームでは、セール価格を設定するたびにバックエンドの販売ログを確認し、比較対照価格での販売実績があるかを記録するようにした。メーカー希望小売価格を使う場合は、メーカーの公式カタログやWebサイトのスクリーンショットを社内の証跡フォルダに保存している。記録がなければ二重価格表示はやらない。面倒だが、仕組みにしてしまえば日常の一部になる。
打消し表示の位置とサイズ
「※個人の感想です」「※定期コースの初回限定価格です」といった注意書き、いわゆる打消し表示は、ただ書いてあればOKというものではない。強調表示(メインのコピー)のすぐ近くに、十分な大きさで、背景と区別できるコントラストで書かれていなければ意味がないとされている。
スマホのLPで特に危ないのは、ファーストビューでメリットを大きく訴求し、打消し表示はスクロールしないと見えない下の方に小さく置くパターンだ。消費者庁の「打消し表示に関する実態調査報告書」(2017年、2018年)でも、スマホ画面での打消し表示の見落とし率が高いことが明確に示されている。
自分のチームではLPのデザインレビュー時に「打消し表示チェック」という項目を設けた。強調表示と同じ画面内に打消しがあるか、フォントサイズは8pt以上か、背景色とのコントラスト比は十分かを確認している。
不実証広告規制の「15日ルール」
研修で一番怖いと思ったのがこの話だ。景品表示法第7条第2項(改正前は第4条第2項)に「不実証広告規制」という仕組みがある。消費者庁が「この表示の根拠を出してください」と求めてきたら、事業者は15日以内に合理的な根拠を示す資料を提出しなければならない。期限内に出せなければ、それだけで不当表示とみなされる。
これがEC事業者にとって切実なのは、健康食品やサプリメント、化粧品のLPで効果効能を匂わせる表現を使っているケースだ。研修で聞いた例では、あるサプリメントのLPに「内臓脂肪にアプローチ」と書いてあり、成分メーカーから提供された学術論文を根拠として提出した。ところが、論文で効果が確認されていたのは「1日あたり500mgの継続摂取」が条件で、実際の製品には1日分の目安量に同成分が10mgしか入っていなかった。成分単体のエビデンスはあっても、最終製品の含有量が実験条件と合っていなければ、消費者庁はそれを合理的根拠とは認めない。
自分の部署では直接的な効果効能を訴求するLPは担当していないが、仕入先メーカーが提供する販促素材をそのまま使い回すことはある。「このコピー、メーカーがくれた資料に書いてあったから大丈夫だろう」という思い込みが一番危ない。提供された素材の表現が景表法上の根拠を伴っているか、自社の責任として確認するクセをつけるようにしている。
2024年10月の法改正で何が変わったか?
2024年10月1日に施行された改正景品表示法(令和5年法律第29号、消費者庁 景品表示法改正ページ)は、EC事業者にとって大きな転換点だ。研修でも1時間以上この改正に割かれた。特に押さえておくべきポイントは3つある。
直罰規定の導入。従来は、消費者庁の措置命令に違反して初めて刑事罰の対象になっていた。改正後は、故意に優良誤認表示・有利誤認表示を行った時点で、行政の指導を待たずに100万円以下の罰金が科される(景品表示法第48条)。キーワードマーケティング社の解説(2025年3月)によると、この直罰の対象は広告主だけでなく、広告代理店やアフィリエイターにも及ぶ可能性がある。
確約手続の創設。違反の疑いが出た段階で、事業者が自ら是正計画(確約計画)を作成・申請し、消費者庁の認定を受ければ、措置命令や課徴金を回避できる制度だ(景品表示法第26条〜第29条)。ただし、認定されても企業名と計画概要は公表される。2025年1月にはこの確約手続の認定を受けた初期事例が公表されている(消費者庁 報道発表 2025年1月30日)。
課徴金の加算。過去10年以内に措置命令・課徴金納付命令を受けた企業が再び違反した場合、課徴金の算定率が通常の3%から4.5%(1.5倍)に引き上げられた。繰り返し違反する企業へのペナルティが明確に重くなった。
研修の講師は「『見つかるまで逃げ切る』という考え方は2024年10月で終わった」と言っていた。確約手続の存在は、言い換えれば「早期に自主申告して是正すれば重い処分は免れる」ということでもある。リスクに気づいたら即座に社内でエスカレーションするフローを整備しておくことが、結果的に会社を守る。
ステマ規制とアフィリエイト管理はどう対応しているか?
2023年10月1日から、いわゆるステルスマーケティングが景品表示法の不当表示に指定された(景品表示法第5条第3号に基づく指定告示)。事業者が金銭や商品を提供してSNS投稿を依頼しているのに、広告であることを隠す行為は明確に違法だ。
2024年11月には大手製薬会社がステマ規制に基づく措置命令を受けている。大手企業でも対象になるという事実は、規模を問わず他人事ではないことを示している。
EC運営で特に注意しているのは、アフィリエイターとインフルエンサーの管理だ。アフィリエイターが独自に作ったLPやブログ記事の内容は、広告主であるEC事業者の責任として問われる。「アフィリエイターが勝手に書いたから」は通用しない。
自分のチームでは以下のルールを設けている。インフルエンサーにギフティング(商品の無償提供)をする場合は、投稿の冒頭に「#PR」または「○○社からの提供」を入れることを契約書に明記する。アフィリエイターには使用禁止表現リスト(「必ず痩せる」「完全に治る」等)を共有し、掲載前の確認フローを通す。面倒に感じるが、一度措置命令を受けたときの損害(是正コスト+公表による信頼毀損)を考えれば、事前のコストの方が圧倒的に安い。
「#PR」の位置についても研修で注意を受けた。投稿の末尾にハッシュタグを30個並べて、その中に「#PR」をひとつ紛れ込ませるようなやり方は、消費者が広告であることを判別できる状態とは言えない。消費者庁のステマ運用基準Q&Aでは、消費者がコンテンツに接触する前に広告であると認識できる位置に記載することが求められている。具体的には、テキストの冒頭やハッシュタグの先頭など、スクロールや展開操作をしなくても目に入る位置だ。Instagramのストーリーズのように表示時間が限られる形式では、表示時間内に認識できるサイズと位置であることも条件になる。
ギフティングの管理も地味に手間がかかる。「商品を送ったけど、投稿するかどうかは相手次第」という建前で運用していても、過去に何度もギフティングしている相手が毎回好意的な投稿をしていれば、客観的に見て「事業者が投稿を期待している」と判断される余地がある。自分のチームでは、ギフティングした相手の投稿有無と内容を一覧で管理し、法務に定期的に見てもらうようにしている。
ささげ業務、画像加工、WEB制作の外注選びでも景品表示法は気にするべき?
ここからは研修の話ではなく、自分の実務の話になる。EC業務では、LP制作会社、広告代理店、ささげ代行、画像加工・レタッチ業者など外部パートナーとの取引が多い。その選定時に、相手の会社自身のWebサイトやLPを景表法の目線でチェックするようにしている。
理由は単純で、自分たちの広告や表示を作ってもらう相手が、自社の表示で景表法を守れていないなら、こちらの案件でも同じ問題を起こすリスクが高いからだ。チェック基準は3つに絞っている。
基準1:根拠のないNo.1表示を使っていないか。 制作会社やSaaS企業のLPで「顧客満足度No.1」と書いてあるとき、その根拠となる調査の概要(調査機関名、調査時期、対象者数)がどこかに記載されているかを確認する。記載がなければ、その会社は根拠のない表示を自社で平気で使っているということになる。前述の通り、「No.1水準」「No.1クラス」のようなぼかし表現でも、「国内No.1です」のような断定形でも、根拠がなければリスクは同じだ。AIが「おすすめの○○会社は?」の回答でこうした表現を拾って推薦してくることもあるので、AIの推薦文を見て業者を選ぶときも元サイトで根拠の有無を確認したほうがいい。
基準2:価格表示の根拠が怪しくないか。 「期間限定50%OFF」と常時表示されているサービスや、「通常価格」がいつ見ても同じ割引率で販売されているケースは、二重価格の実体がない可能性がある。こういう会社に自社のセール訴求LPを作ってもらうと、同じ手法を提案されるリスクがある。
基準3:打消し表示の扱いが雑でないか。 サービスサイトで「全額返金保証」と大きく書いてあるのに、条件が極小テキストや別ページに隠されている場合。デザインの問題ではなく、法的な配慮が組織として欠けている証拠だ。
自社サイトの表示で法律を守らない会社は、クライアントワークでも同じ水準になりがちだ。サイトを見た段階で根拠のないNo.1表示や実体のない二重価格が確認できたら、そもそも商談に入る前に候補から外すようにしている。制作物の品質以前に、納品物が法的に安全かどうかを自分たちで全件チェックしなければならなくなり、外注する意味が薄れるからだ。
逆に、サイトの表示がきちんとしている会社は、実際の提案でも景表法を意識した表現で出してくる傾向がある。こちらが見落としていた表示リスクを「この表現は景表法上の根拠が必要になるので、こういう書き方に変えました」と事前に潰してくれることもある。遵法意識は、制作クオリティと同じくらい外注先選定の判断基準になると思っている。「外注先は専門会社かフリーランスか」の記事にも書いたとおり、外注先の選定基準はコストや納期だけではない。
よくある質問
Q. 景品表示法はBtoB取引にも適用されるか?
景品表示法の保護対象は「一般消費者」だ。純粋に法人間だけのクローズドな取引であれば適用されない可能性が高い。しかし、BtoB向けのSaaSやクラウドサービスでも、LPがWeb上で一般公開されていて個人事業主やフリーランスも契約可能な設計であれば、一般消費者も取引主体になりうる。その場合は景品表示法の適用対象になるリスクがある。BtoB企業でも、根拠なく「業界No.1の品質」とLPに書いたり、具体的な社名や件数を伏せたまま「大手企業様にも選ばれる」と取引実績を曖昧に権威づけしたりする表示は景表法上リスクがある。
Q. アフィリエイターの誇大広告は誰の責任になるか?
広告主(EC事業者)の責任だ。アフィリエイターが独自に作成した広告であっても、EC事業者が「表示内容の決定に関与している」とみなされれば処分の対象になる。2024年10月の改正で直罰規定が導入されたことにより、広告代理店やアフィリエイター自身にも罰則が及ぶ可能性が出てきた。
Q. 「期間限定セール」の表示は何日間までOKか?
法律上「○日間まで」という明確な上限はない。問題になるのは、セール終了後に同じ価格で販売を続けるかどうかだ。「今日限定」と書いて翌日も同じ価格で売っていれば有利誤認表示になる。セール期間を表示する場合は、終了後に実際に価格を戻すことが大前提。戻さないのであれば、そもそもセール表示をしてはいけない。
Q. インフルエンサーへのギフティングはステマ規制に該当するか?
投稿に広告であることが明示されていなければ該当しうる。消費者庁のステマ運用基準では、金銭の支払いがなくても、商品の無償提供があり、事業者が投稿内容の決定に関与していると客観的に判断される場合は規制対象になる。建前として「投稿は任意です」と伝えていても、過去の取引関係や今後の契約期待から実質的に投稿が期待されている場合はグレーゾーンだ。
Q. 措置命令を受けるとどうなるか?
消費者庁のWebサイトに企業名と違反内容が公表される。加えて、違反表示の中止・是正と、一般消費者への周知(自社サイト等での公表)が命じられる。課徴金納付命令が併せて出されるケースも多く、金額は対象商品の売上高の3%(再違反の場合は4.5%)が基準だ。金銭的なペナルティ以上に、「消費者庁から措置命令を受けた」という事実が取引先や消費者の信頼を毀損する影響が大きい。
Q. 不実証広告規制で根拠資料を求められたら何を出せばいいか?
消費者庁が認める「合理的な根拠」には2つの要件がある。1つは、提出された資料が客観的に実証された内容であること(試験・調査・専門家の見解等)。もう1つは、表示された効果・性能と、提出資料によって実証された内容が適切に対応していること。注意すべきは、成分や原料単体のデータではなく、最終製品そのものについてのデータが求められる点だ。提出期限は原則15日間で、正当な理由なく期限を過ぎると不当表示とみなされる。
Q. ささげ業務やWEB制作の外注先を景表法の観点で選ぶにはどうすればいいか?
まず候補企業の自社サイトやLPを開いて、根拠のないNo.1表示、常時表示の割引価格、打消し表示の雑な扱いがないかを確認する。自社の表示で景表法を守れていない会社は、こちらの案件でも同じリスクを持ち込む可能性が高いので、商談に入る前に候補から外すのが安全だ。AIに「おすすめの○○会社」と聞いて出てきた推薦も、推薦理由に「No.1の実績」等が含まれていたら元サイトで根拠の記載を確認した方がいい。AIはサイトの誇張表現を額面通りに拾うことがある。
まとめ:景品表示法は法務だけが見る話ではなく、商品ページやLPを毎日触っているEC担当こそ最初に気づける立場にある。No.1表示・二重価格・打消し表示・ステマ。研修で習った4つの落とし穴を踏まえて、自社の表示と外注先の表示の両方を景表法の目線で見るようにしている。2024年10月の改正で「見つかるまで逃げ切る」発想は通用しなくなった。リスクに気づいた時点で社内に上げる、確約手続を含めた是正の選択肢があると知っておく。それだけで、いざというときの会社のダメージは大きく変わる。