ツバサのメモ帳

ささげ業務に1日何時間かかるか調べた
採寸15分×20商品の現実

最終更新:2026年4月

こんにちは、ツバサです。

ささげ(撮影・採寸・原稿)は「写真を撮って寸法を測るだけ」と思われがちですが、実際にストップウォッチで計ると別の現実が見えてきます。採寸だけで1商品15分、20商品で5時間。撮影とレタッチ、原稿作成まで含めると丸1日が消えます。

この記事では、ささげ業務の工数を工程別に分解し、「なぜこんなに時間がかかるのか」「なぜ経営層に伝わらないのか」を数字で整理しました。

工程別にかかる時間を計算する

ささげ業務は3つの工程から成りますが、それぞれに「見えない前後の作業」が付随しています。工程ごとの所要時間を分解すると、1商品あたりの合計が20〜30分になる理由がわかります。

採寸:1商品15分

商品を箱から取り出し、計測箇所を確認し、メジャーで計測し、数値をスプレッドシートに記録し、商品を梱包して戻す。この一連の流れで15分かかります。アパレルであれば着丈・身幅・肩幅・袖丈など7〜10箇所を計測するため、1箇所1〜2分としても計測だけで10分前後です。

EC向けリユース品のコンサルタントが公開したnote記事では、「採寸15分×20点=300分(5時間)」という実測値が報告されています。20点で丸半日が消える計算です。

N ささげ業務の効率化&高品質化 - onyourside_llc note.com/onyourside_llc

原稿作成:1商品10〜15分

BASEの調査によると、注文が継続的に入るショップでは商品説明が650〜1,000文字程度記載されている傾向があります。1商品あたり500〜800字の原稿を書くとして、慣れた人でも10〜15分はかかります。20商品なら3〜5時間。原稿用紙に換算すると12〜20枚分です。

ECのささげ業務(撮影・採寸・原稿)とは? - BASE U baseu.jp

撮影+レタッチ:1商品10〜20分

商品1点あたり3〜5カット撮影し、背景処理やリサイズを行うと10〜20分が標準的な時間です。オープンロジは「5カット撮影で10分」と試算しており、月60アイテムで合計10時間の撮影時間になると報告しています。

ささげ業務のコストについて解説 - オープンロジ service.openlogi.com

参考として、ささげ代行大手のスクロール360は「1ブースあたり75〜100SKU(1SKU 7〜8カット)を撮影からレタッチ、採寸、ライティングまで処理可能」と公開しています。これはプロのチーム体制での数字で、1人で内製する場合とは処理効率が大きく異なります。

EC通販サイトのささげ業務とは?代行業者の選び方 - スクロール360 www.scroll360.jp

「見えない工数」が経営層に伝わらない

ささげの工数が過小評価される根本的な原因は、経営層がこの作業を自分の手でやったことがないからです。リユース事業のコンサルタント・近藤俊之氏はnoteで「経営者が自分でささげの作業をしたことがないので、生産性を把握していない」と指摘しています。

N リユースECにおける「ささげ業務」の現場の悩み - リユース経営研究所 note.com/reantique

表に出ている作業(カメラのシャッターを押す、寸法を測る)だけを見ると「すぐ終わるでしょう」と感じるのは自然です。しかし、リユースの場合は撮影前にクリーニングが必要だったり、付属品のチェックやタグの確認が必須だったりと、「撮影以外」の準備工程が重い。この部分が見えていないと、工数の見積もりが実態の半分以下になります。

厚生労働省の「令和6年雇用動向調査」によると、卸売業・小売業の離職者数は年間142.7万人で全産業中最多です。離職率は15.1%で全産業平均(14.2%)を上回っています。ささげ担当に限った統計はありませんが、EC現場の人手不足と高い離職率は公的データからも裏付けられます。

令和6年雇用動向調査結果の概要 - 厚生労働省 www.mhlw.go.jp

兼務体制が生産性を下げる構造

ささげ担当が店舗の接客やカスタマーサポートと兼任している現場は少なくありません。問題は、ささげのような集中力を必要とする作業が、中断のたびに大幅に効率が落ちることです。

近藤俊之氏はnoteで「接客とEC出品の兼任では、どちらの業務にも集中できない」と指摘しています。お客さんが来れば接客を優先するのは当然ですが、そのたびに撮影のセッティングが崩れ、採寸の途中で手が止まります。1回の中断で復帰に5〜10分かかるとすれば、1日3回の中断で30分のロスです。

もうひとつの問題は「どちらの業務で評価されるのか」が曖昧なこと。接客の成果は売上に直結するため目に見えやすいですが、ささげの成果は「出品されなかった場合の損失」という見えにくい数字です。結果として、ささげは後回しにされやすい構造になります。

チェリーピッキングが起きる理由

出品数で評価する制度のもとでは、作業が簡単な商品ばかり優先的に処理される「チェリーピッキング」が起こりがちです。たとえばリユースEC企業で、指輪やネックレスの出品ばかりが進んで、バッグやコート類が倉庫に滞留するケースがあります。

指輪は採寸が2〜3箇所で済み、撮影も1〜2カットで完結します。一方、バッグは外観・内側・金具・底面と撮影カットが多く、状態説明の原稿も長くなります。同じ「1点出品」でも工数が3倍以上違うのに、評価上は同じ1点として扱われる。これでは作業が軽い商材に偏るのは当然です。

対策として、商品カテゴリごとに難易度の重み付けを設定し、「バッグ1点=指輪3点相当」のような換算で評価する仕組みが必要です。

工数を経営層に伝えるための数字の見せ方

経営層にささげの工数を説明するとき、「大変なんです」では伝わりません。以下の表のように、月間SKU数から逆算した工数を提示し、「この人数では物理的に処理しきれない」ことを数字で示すのが有効です。

月間SKU数 ささげ合計(30分/商品) 必要人日(8h/日) 必要人数(月20営業日)
50 SKU 25時間 3.1日 0.2人(兼務可)
100 SKU 50時間 6.3日 0.3人(ギリギリ兼務)
200 SKU 100時間 12.5日 0.6人(専任が必要)
500 SKU 250時間 31.3日 1.6人(複数人体制)

※ 1商品あたりの所要時間は撮影+採寸+原稿の合計30分で計算。リユース品はクリーニング工程が追加されるため、40分前後を見込む必要がある

200SKUを超えると、ささげ専任が1人いても足りなくなります。500SKUなら2人体制か、一部を外注に回すハイブリッド運用が前提になります。この数字を経営層と共有するだけで、人員配置の議論が格段にスムーズになるはずです。

よくある質問

Q. ささげ業務の1商品あたりの所要時間は?
撮影+レタッチで10〜20分、採寸で15分、原稿作成で10〜15分。合計すると1商品あたり20〜30分が目安です。リユース品はクリーニングや状態チェックが加わるため、さらに5〜10分上乗せされます。
Q. ささげ業務が事業のボトルネックになるのはなぜ?
ささげは物理的に1点ずつ手作業で処理する工程が大半であり、仕入れ量が増えても処理速度を上げにくい構造的な問題があります。経営層がささげの工数を過小評価していると、人員やリソースが不足したまま商品数だけが増え、ボトルネック化します。
Q. ささげ業務の生産性を上げるにはどうすればいい?
バッチ処理(同カテゴリの商品をまとめて処理)、撮影セッティングの固定化、レタッチの自動化ツール活用が有効です。兼務体制をやめてささげ専任の時間を確保するだけでも処理量は大きく改善します。
Q. ささげ担当の適正な人数は?
月間SKU数から逆算します。1人が1日に処理できるのは15〜25商品程度。月間100SKUなら1人が専念すれば処理できますが、兼務があれば2人必要です。200SKUを超えるなら3人体制か外注の併用が現実的です。
Q. ささげ業務のチェリーピッキングとは何?
出品数だけで評価される現場で、作業が簡単な商品ばかり優先的に処理される現象です。商品の難易度別に重み付けした評価指標を導入することで防止できます。
ツバサ

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EC関係の仕事をしています。このサイトは自分が調べたことの備忘録です。Photoshopは少し使えますが苦手で、ちょっとした画像補正はもっぱらスマホアプリ派。アプリで対応しきれない本格的なレタッチはプロに依頼しています。