こんにちは、ツバサです。
EC業界の求人を見ていると「ささげ担当」というポジションを目にする機会が増えています。撮影・採寸・原稿作成をまとめて担う職種ですが、求人は多いのに離職率も高い。その背景を調べてみると、業務の実態と評価制度のギャップが見えてきました。
この記事では、ささげ担当の具体的な仕事内容、必要スキル、そして離職率が高い構造的な理由をまとめました。これから応募を考えている人にも、採用側の事業者にも参考になる内容です。
ささげ担当の1日の流れ
ささげ担当の1日は、商品の受け入れから始まります。一般的な流れは以下の通りです。
出社後、まず入荷商品の検品と展開作業を行います。箱から商品を取り出し、タグや付属品を確認し、撮影できる状態に準備します。リユース品の場合はここにクリーニング工程が入ります。午前中に撮影を集中的に行い、午後は採寸と原稿作成、画像のレタッチとアップロードに充てる。この流れが1サイクルです。
Indeedに掲載されているアパレル商社(豊田貿易)のEC運営スタッフ求人を見ると、業務内容に「ささげ業務(商品撮影・レタッチ・採寸・商品コメント作成)」が明記されています。月給は30万〜40万円で、ささげ以外にもECサイト運営や受注管理を兼務するポジションです。
ファッション業界特化型の求人サイトREADY TO FASHIONにもささげ業務の求人特集があり、複数社の業務内容を比較できます。
外 ささげ業務の求人特集 - READY TO FASHION www.readytofashion.jp必要なスキルは何か
「写真が撮れればOK」と思われがちですが、ささげ担当に求められるスキルは意外と幅広いです。
撮影面では、一眼レフまたはスマホのマニュアル撮影ができること、照明の基本(順光・逆光・ディフューズ)を理解していることが求められます。最近はiPhone撮影を指定する求人も増えていますが、撮影ボックスの使い方やアングルの決め方は共通の知識です。
画像編集では、Photoshopの基本操作(背景切り抜き、色補正、リサイズ)が標準的に求められます。CanvaやRemove.bgのような簡易ツールで代替できる現場もありますが、Photoshopが使えると選べる求人の幅が広がります。
採寸は「メジャーの使い方」だけではなく、どの箇所を測るべきかというカテゴリごとの計測ルールの知識が必要です。アパレルなら着丈・身幅・肩幅・袖丈が基本ですが、バッグなら縦×横×マチ、時計ならケース径やベルト幅と、商材によって計測項目が変わります。
原稿作成では、500字程度の商品説明文を書く力が必要です。商品の特徴を端的に伝える文章力に加えて、SEOを意識したキーワードの挿入も求められることがあります。
離職率が高いのはなぜか
厚生労働省の「令和6年雇用動向調査」によると、卸売業・小売業の離職率は15.1%で、全産業平均の14.2%を上回っています。パートタイム労働者に限ると21.3%まで跳ね上がります。離職者数は年間142.7万人で、全産業中最多です。
外 令和6年雇用動向調査結果の概要 - 厚生労働省 www.mhlw.go.jp「ささげ担当」に限った統計は存在しませんが、EC現場で離職率が高くなる構造的な理由は3つあります。
1つ目は、業務の単調さです。商品が変わっても作業の流れは同じで、毎日「撮って測って書く」の繰り返しになります。リユースEC支援のオートリージャパンも「テクノロジーでは代替できない部分も多く、離職率が高くなる傾向がある」と指摘しています。
外 EC運営における「ささげ」業務とは? - オートリージャパン www.ortery.jp2つ目は、経営層からの過小評価です。ささげを「写真を撮るだけの簡単な仕事」と認識している経営者は少なくありません。Xでは「EC1人でやるの無理なんだが?」という声も上がっており、1人に複数業務を押し付ける体制が疲弊の原因になっています。
X EC1人で全業務を回す限界を訴える投稿 - @koyukkiinu x.com/koyukkiinu3つ目は、キャリアパスの不透明さです。ささげ担当として入社しても、その先にどんなポジションがあるのかが見えない。EC責任者、MD、バイヤーへのステップアップが描けるのか、撮影スキルを活かした別の職種へ移れるのか。この将来像がない状態では、モチベーションの維持が難しくなります。
「また人が辞める」を防ぐために
採用する側にとっても、ささげ担当の離職は大きなコストです。人が辞めるたびに採用費と教育コストがかかり、その間は出品が滞って売上に影響します。
対策として考えられるのは、まず商品カテゴリの難易度に応じた評価指標の設計です。ささげ業務の工数を調べた記事で触れたチェリーピッキングの問題を防ぐために、「バッグ1点=指輪3点相当」のような難易度換算を導入する必要があります。
次に、撮影スキルを「資産」として認め、キャリアパスを見せること。商品撮影のスキルはECに限らず広告制作やメーカーのマーケティング部門でも活かせます。社内でのステップアップだけでなく、市場価値としてのスキル成長を示すことがモチベーションにつながります。
そして、兼務の削減。ささげに集中できる時間を確保するだけで、処理量も品質も上がります。接客やCS対応との兼務は、中断によるロスが大きすぎるのが実態です。
これからささげ担当に応募する人へ
ささげ担当に向いているのは、黙々と同じ作業を繰り返すことが苦にならない人です。写真が好き、モノを丁寧に扱える、ECの裏側に興味がある。こういった素養があれば、未経験からでも十分にスタートできます。
一方で、覚悟すべきこともあります。毎日の作業は基本的に同じ流れの繰り返しで、「今日はこれを撮って、測って、書く」の日々が続きます。変化を求めるタイプの人には辛い面があるのは事実です。
未経験で入るなら、まずは撮影から手をつけるのがおすすめです。スマホでの物撮り、白背景の作り方、自然光の使い方を独学で覚えておけば、面接でもアピールしやすいポイントになります。
給与面では、Indeed掲載の求人データを見る限り、ささげ業務を含むEC運営スタッフの月給は21.6万〜40万円のレンジです。EC運営全般を兼務するポジションほど給与は高くなりますが、ささげ専任のみの場合は20万円台前半が多い印象です。