こんにちは、ツバサです。
最近のスマホアプリは本当に優秀で、ワンタップで肌がきれいになったり、背景をきれいに消してくれたりします。「もうプロに頼まなくていいんじゃないか」と思ったこともあるんですが、実際に使い込んでみると、AIアプリが得意なことと苦手なことがはっきりわかってきました。
仕事で商品画像を扱う立場でもあるので、「これはアプリで済ませていいのか、プロに頼むべきか」という判断を毎回している感覚です。今回はそのあたりを整理してみます。
AIレタッチアプリが得意なこと
まず、AIアプリが本当によくできるようになったと感じる領域から。
肌補正・美肌処理
ニキビ、毛穴、クマなどの軽減はAIアプリの最も得意な分野です。BeautyPlusやSodaといったアプリは、顔を認識して自動でなめらかに処理してくれます。「少し盛れれば十分」というSNS用途なら、アプリで完結することがほとんどです。
ただし、自然な仕上がりにするには設定の調整が必要で、強度を上げすぎると「明らかに加工してる」という見た目になります。加工の加減をコントロールしたいかどうかが、アプリで済ませるかどうかの分かれ目になります。
背景の削除・単色への置き換え
Remove.bgのように、被写体を認識して背景を自動で切り抜くサービスはかなり精度が上がっています。シンプルな輪郭の被写体(人物・単品商品など)であれば、数秒で白背景に差し替えることができます。
ECサイト用の白抜き画像を大量に作る、という用途でも十分使えるレベルになってきました。
明るさ・色味の自動補正
Lightroomなどのアプリに搭載されているAI自動補正(「自動」ボタン1発)は、露出やホワイトバランスをある程度整えてくれます。「なんとなく暗い」「全体的にくすんでいる」程度の問題なら、自動補正でかなり改善できます。
小さな不要物の消去
背景に写り込んだゴミ、電線、看板の一部など、小さな不要物を消す処理はTouchRetouchやPhotoshopのスポット修復ブラシが得意です。消したい対象が小さく、周辺の背景が単調なほど精度が上がります。
AIレタッチアプリが苦手なこと
ここからが本題です。AIアプリに任せると「なんかおかしい」という結果になりやすい処理を整理します。
人が写り込んだ場合の消去
背景に写り込んだ通行人や人物を消す処理は、AIアプリがもっとも苦手とするパターンのひとつです。人の輪郭は複雑で、消去後の背景をAIが補完しようとすると、不自然な模様や歪みが生まれます。特に背景に建物や格子状のパターンがあると、補完のミスが目立ちます。
複雑な背景の差し替え
被写体の輪郭が細かい場合(毛先、透明感のある素材、網目など)は、AIによる背景切り抜きが甘くなりがちです。髪の毛の一本一本まできれいに切り抜くのは、現状のAIアプリでは難しく、アプリによっては「なんとなく切り取った」感が残ります。
色の正確な再現
商品写真で重要な「実物の色を正確に再現する」という作業は、AIの自動補正が向いていません。自動補正はあくまで「見栄えがよくなる方向」に調整するため、意図せず色味がずれることがあります。洋服やアクセサリーなど、色が購入判断に直結する商品では、誤った色補正はクレームの原因になります。
大量処理での品質の安定
アプリを使った手動の処理は、1枚1枚の仕上がりにばらつきが出やすいです。100枚の商品写真を同じクオリティに揃えるという作業は、アプリ操作に慣れた人でも時間と集中力を消耗します。
印刷・商用利用に耐える解像度での処理
スマホアプリは基本的にSNS表示サイズを想定した処理をするため、印刷や商業用途で必要な高解像度の処理には対応していないことがあります。カタログ印刷や大判ポスターなどの用途では、そもそも処理できないケースがあります。
AIアプリとプロのレタッチ、仕上がりの違いを整理すると
| 作業内容 | AIアプリ | プロのレタッチ |
|---|---|---|
| 肌補正(SNS用) | ○ 得意 | ○ 高精度 |
| 背景の白抜き(単純な輪郭) | ○ 対応可 | ○ 高精度 |
| 明るさ・色味の調整 | △ 自動補正のみ | ○ 意図通りに調整可 |
| 人・複雑な不要物の消去 | △〜× 難しい | ○ 対応可 |
| 複雑な輪郭の背景切り抜き | △ 精度に限界あり | ○ 丁寧に対応可 |
| 色の正確な再現(商品写真) | × 苦手 | ○ 対応可 |
| 大量処理での品質安定 | △ ばらつきあり | ○ 均一化しやすい |
| 印刷・高解像度の処理 | × 対応困難なことがある | ○ 対応可 |
| 費用 | 無料〜月数百円 | 1枚数百円〜数千円 |
こうして並べると、「AIアプリで済ませる」か「プロに頼む」かは、仕上がりのクオリティよりも、依頼する内容の複雑さで判断するのが合理的だと思います。
判断の目安
SNS投稿・自分用の写真 → AIアプリで十分な場合が多い
ECサイト掲載・商用利用・印刷 → 用途と枚数次第でプロへの外注を検討
AIでやってみてうまくいかなかった → プロに頼む方が早くて確実
「まずアプリで試してから判断」が現実的
とはいえ、毎回プロに頼むのはコストがかかります。僕がやっている流れとしては、まずアプリで試してみて、「なんかおかしい」と感じたらプロへの依頼を検討する、という感じです。
最近はRemove.bgやPhotoshopのAI機能がかなり優秀になってきたので、カバーできる範囲は確実に広がっています。ただ、「確実にきれいに仕上げたい」「失敗できない写真」という場面では、最初からプロに依頼する方が結果として時間もコストも節約できるケースがあります。
個人から1枚単位で受け付けているレタッチサービスも複数あって、料金は内容によりますがベーシックな修正なら数百円〜数千円程度が相場のようです。詳しくは以前まとめた記事を参考にしてみてください。
レタッチ外注サービス比較|個人でも依頼できるおすすめの7社【2026年最新版】
AIの進化でどう変わるか
Adobeは2024年にPhotoshop・Lightroomに生成AIの機能を本格統合し、「存在しないものを生成しながら背景を補完する」という処理の精度が大きく上がりました。また、スマホのカメラアプリ自体にも撮影段階でのAI補正が組み込まれるようになっています。
ただ、Adobeのブログでは「AIは補助ツールであり、複雑な修正やクリエイティブな判断はプロフェッショナルが担う領域」という見解を示しています(Adobe Blog)。技術は進化しても、「どう仕上げたいか」という意図を持った人間のコントロールがなくなるわけではない、ということでしょう。
AIアプリが得意な領域は今後さらに広がりますが、「仕上がりの正確さ」と「複雑な依頼への対応」という部分でのプロとの差は当分続くと思います。