2026年6月23日
EC・実務
Amazon FBA・楽天・ZOZOの手数料と送料を商品別に比較した【2026年版】
目次
こんにちは、ツバサです。
うちの会社ではアパレル商品を自社EC・Amazon・楽天の3チャネルで販売しているのですが、同じ商品でもチャネルによって手元に残る金額がまったく違います。送料が安いから得、というほど単純な話ではなく、販売手数料や在庫保管料、返品時のコストまで含めて計算しないと、どこで儲かっていてどこで損しているのかが見えてきません。
この記事では、Tシャツ(6,000円)、スニーカー(18,000円)、レザーバッグ(35,000円)、コート(40,000円)の4アイテムを例にして、自社EC・Amazon FBA・楽天のトータルコストを比較しました。ZOZOTOWNはコスト構造が根本的に異なるので別セクションで整理しています。2026年4月のAmazon手数料改定と、2024年問題に続く改正物流効率化法(2026年4月施行)の影響も反映しました。
Yahoo!ショッピングの手数料比較についてはECモール出店比較の記事にまとめてあります。
アパレルECの配送コストは「送料」だけでは比較できない
月次の売上レポートを見ていて、Amazonの利益率が妙に低いことに気づきました。配送料だけなら自社ECと大差ないはずなのに、販売手数料、在庫保管料、返品時の往復送料まで含めて計算し直したら、同じ商品でもチャネルごとの手残りがまったく違っていました。
特にアパレルは、薄いTシャツとかさばるコートでは配送方法がまったく変わりますし、スニーカーやバッグは化粧箱入りで配送サイズが大きくなりやすい、スニーカーは返品率が高い、といった商材ごとの事情があります。チャネルごとのコスト構造を理解しないまま「とりあえず全部出品」していると、売上は伸びているのに利益が出ない状態に陥ります。
以下のセクションでは、まず各チャネルの配送手段と手数料構造を個別に整理し、そのあとで4アイテムの具体的なコスト比較表を出します。
自社ECサイトの配送手段と料金(2026年版)
自社ECは4チャネルの中で配送方法の選択肢が最も広く、薄物ならクリックポスト185円で全国配送できるため、1点あたりの配送コストが最も安くなります。
自社ECでは配送会社と直接契約するため、商品の薄さや大きさに合わせて配送方法を選べます。アパレルで使う主な配送手段は以下の通りです。
クリックポスト(日本郵便)は全国一律185円(税込)。厚さ3cm・重量1kg以内という制限があるため、Tシャツやインナーなど薄くて軽い商品に向いています。2024年10月の歴史的な郵便料金値上げでもクリックポストの料金は据え置かれました(出典:日本郵便公式)。ラベルをオンラインで印字する手間はかかりますが、小規模な自社ECでアパレルの薄物を送るには最安の手段です。
ネコポスとクロネコゆうパケットは2026年現在、併存しています。ヤマト運輸は当初ネコポスを廃止してクロネコゆうパケットに一本化する予定でしたが、2025年1月に方針を転換し、翌日配達を維持するネコポスの提供を継続すると発表しました。ネコポスは上限385円(法人割引あり)で厚さ2.5cmまで、クロネコゆうパケットは厚み別の3段階料金(1cm=250円、2cm=310円、3cm=360円)で厚さ3cmまで対応します(出典:ヤマトHD公式)。配達スピードを優先するならネコポス、厚みの余裕を取りたいならクロネコゆうパケットという使い分けになります。
宅急便コンパクト(ヤマト運輸)は専用BOX(約70円)を購入して利用する小型宅配便です。厚さ5cm程度まで許容されるため、メール便では膨らんでしまうローゲージのニットに向いています。60サイズの宅配便より安く、手渡し配達なので高単価アパレルの顧客体験にも貢献します。
宅配便(60〜100サイズ)は、スニーカーの箱(60サイズ)、レザーバッグ(60〜80サイズ)、コート(80〜100サイズ)で必要になります。法人契約の場合、月間出荷数に応じて届出運賃から割引が適用されますが、2024年問題以降は割引率が渋くなっており、中規模事業者(月間数千件)で60サイズの最低料金帯は500〜650円程度です(出典:ヤマト運輸)。佐川急便も2024年4月に届出運賃を平均7%値上げしています。
自社ECの強みは、同梱物の自由度です。サンクスカード、ノベルティ、次回割引クーポンなどを自由に入れられるため、ブランド体験の設計と顧客のリピート促進に直結します。弱みは出荷作業を全部自分でやること。2026年以降、運送会社が夕方以降の集荷を打ち切る傾向にあり、「当日発送」の受付時間が15時頃に前倒しされるケースが増えています。
Amazon FBA(服・シューズ・バッグカテゴリ)の手数料構造
Amazon FBAはピッキングから配送・返品対応まで代行してくれる代わりに、配送代行手数料(318〜624円/点)と販売手数料(服カテゴリで実効8.7〜10.4%)が1点ごとに課金されます。物流の手間はゼロになりますが、4チャネルの中で1点あたりの固定コストが最も高い構造です。
Amazon FBAを利用すると、在庫の保管からピッキング、梱包、配送、カスタマー対応、返品処理までAmazonが代行します。出品者は商品をFBA倉庫に納品するだけで物流業務から解放される一方、複数の手数料が重なります。
FBA配送代行手数料は、梱包済み商品の3辺合計と重量で決まります。2026年4月の改定で標準サイズが10cm刻みに細分化されました(出典:Amazonセラーセントラル)。アパレルが該当しやすい帯を挙げると、薄手のTシャツが「標準-1」で318円(3辺合計35×30×3.3cm以内)、スニーカーの箱が「標準-3」で472円(3辺合計80cm以内)、コートが「標準-4」の532円から「大型-2」の624円あたりです。折り畳み方が甘くて厚さが3.3cmを超えた瞬間にサイズ区分が上がるため、梱包時に空気を抜く工程がコストに直結します。
販売手数料は服カテゴリで二段階構造になっています(出典:Amazonセラーセントラル)。1商品あたりの売上合計のうち3,000円以下の部分に12.4%、3,000円を超える部分に8.4%が適用されます。この構造のおかげで、高単価になるほど実効手数料率が下がります。6,000円のTシャツなら624円(10.4%)、18,000円のスニーカーなら1,632円(9.1%)、40,000円のコートなら3,480円(8.7%)です。
在庫保管手数料は体積×日数の日割り計算ですが、「服&ファッション小物」「シューズ&バッグ」カテゴリは一般商材より約40%安い優遇テーブルが適用されます(出典:Amazonセラーセントラル)。1月〜9月で10cm角あたり3.278円に対し、一般商材は5.676円です。ただし、アパレルは「大きくて軽い」商材が多く、特にスニーカーの箱やコートは体積が大きいため、保管料が嵩みやすい点に注意が必要です。
2026年4月15日からは、保管期間が365日を超えるすべての商品に対して月額20円/点の最低長期在庫追加手数料が新設されました(出典:Amazonセラーセントラル)。シーズン商品の売れ残りを放置すると、毎月じわじわとコストが流出します。
アパレルEC担当者にとって最大の痛点は30日間返品無料ポリシーです。服・シューズ・バッグカテゴリでは、購入者都合(サイズ違い、イメージ違い)の返品であっても返送料は全額出品者負担になります(出典:Amazonセラーセントラル)。購入者が3足のスニーカーを注文し、1足だけ残して2足を返品した場合、出品者は2足分の発送時の送料と返送料の両方を負担しながら、商品代金は全額返金することになります。
同梱物については、サンクスカードやブランド紹介の封入は可能ですが、自社ECサイトへの誘導リンクやQRコード、高評価レビューを条件とした割引クーポンの記載は規約違反です(出典:Amazonセラーセントラル)。発覚すると警告や出品停止等の措置を受ける可能性があるため、同梱物はブランドストーリーの伝達や着用方法の案内に留めるのが安全です。
楽天市場の配送コスト(RSL利用・自社配送)
楽天市場の配送コストは自社ECとAmazonの中間に位置しますが、3,980円以上の送料無料ルール(39ショップ)により、低単価商品の注文では店舗側の送料負担が利益を圧迫する構造です。変動費率も9〜14%と高く、手残りは3チャネルの中で最も少なくなるケースがあります。
楽天市場の配送は、楽天スーパーロジスティクス(RSL)に委託するか、店舗側が自社でヤマト・佐川と法人契約を結んで発送するかの2パターンです。
RSLの料金は原則として出店者向けに個別見積りで提示されており、楽天ロジスティクスの一般向け公式サイトには具体的な金額テーブルは公開されていません。物流支援システム各社が公開している2025年6月改定後の情報によると、メール便(厚さ3cmまで)が199円、60サイズが422円、80サイズが503円、100サイズが599円(いずれも税込の目安)です。楽天以外の受注(自社ECや他モールからの注文)に対しては「他サイト対応料」(+14〜40円)が加算されるため、RSLを安価な物流インフラとして自社ECにも使おうとすると追加コストが発生します。
RSLを使わない場合は、ネクストエンジンやクロスモールなどのOMS(受注管理システム)で複数モールの在庫を統合し、自社倉庫や委託先の3PLから出荷します。オリジナルデザインの段ボールや手書きのメッセージカードなど、ブランド体験を重視した柔軟なオペレーションが可能になる反面、スーパーSALE時の出荷波動に対応する人員確保コストを店舗側が丸抱えすることになります。
39ショップルールは楽天市場特有の制度で、出店者にとっての影響が大きいので少し丁寧に説明します。楽天市場では、購入金額が3,980円(税込)以上になると送料が無料になります。ただし「無料」といっても配送会社がタダで運んでくれるわけではなく、その送料は店舗側が負担します。つまり、3,980円以上の注文には店舗が送料を自腹で払う仕組みです。
6,000円のTシャツや18,000円のスニーカーなら、単品の購入でも3,980円を超えるので、店舗が送料を負担すること自体は避けられません。一方、1,500円のインナーや800円の靴下だけの注文だと、合計金額が3,980円に届かないため「送料別」の扱いになり、購入者が送料を払います。ところが、購入者の立場では送料が別途かかる店より送料無料の店を選びたくなるため、客単価が低い商品ばかりの店舗は不利になります。また、インナー1,500円×3点=4,500円の注文で送料無料が適用された場合、宅配便の実費(600〜1,000円程度)がそのまま店舗の負担になり、粗利を食い潰すリスクがあります。対策としてはセット販売で注文単価を引き上げるか、あらかじめ送料分を商品価格に上乗せして「送料無料」に見せる方法があります。
楽天の変動費率はプランと月商によって異なりますが、システム利用料、楽天ポイント原資(1.0%)、楽天ペイ利用料(2.5〜3.5%)、楽天スーパーアフィリエイト(アパレルは基本4.0%)などを合算すると、実質的な変動費率は売上の9〜14%に達します(出典:楽天出店案内)。
返品ポリシーはAmazonと真逆の構造です。2026年6月時点の楽天ファッションの規定では、顧客都合の返品に対して返品交換手数料1,320円(税込)が顧客負担となっています(手数料は変更される可能性があります)。返品のハードルが高い分、返品率はAmazon FBAより低く抑えられる傾向にあります。
ZOZOTOWNの手数料と受託販売モデルのコスト構造
ZOZOTOWNの手数料は販売価格の20〜40%(実質35%前後)で、配送料・ささげ費・CS費がすべて含まれた包括料金です。数字だけ見ると他チャネルより高いですが、自社でささげと物流を個別に手配するコストを足し上げると、必ずしも割高とは限りません。
ZOZOは上の3チャネルとはコスト構造が根本的に異なるため、同じ比較表には並べられません。
ZOZOの出店は「受託販売」が基本です。在庫をZOZOBASEに預けると、ささげ業務(撮影・採寸・原稿作成)から保管、梱包、発送、カスタマーサポートまで、ZOZOが一括で代行します(出典:ZOZO公式 ビジネスモデル)。出品者が個別に配送料や保管料を払う構造ではなく、販売価格の20〜40%(ブランドごとの個別契約・公式非公開)がコミコミの包括手数料として差し引かれます。ZOZOの決算データから逆算すると、10,000円の商品でZOZOの売上が約3,500円なので、実質的な手数料率は35%前後です。
この手数料を単純に「高い」と判断するのは早計です。ささげ費用(自社で撮影・採寸・原稿を外注すれば1型あたり数千円)、物流費(倉庫保管料+出荷作業料+配送料)、CS費用(問い合わせ対応・返品処理)がすべて含まれているからです。自社でこれらを個別に手配したときのトータルコストと比較しないと、ZOZOの手数料の妥当性は評価できません。
4アイテムの手残り目安を手数料35%で計算すると、Tシャツ6,000円→3,900円、スニーカー18,000円→11,700円、レザーバッグ35,000円→22,750円、コート40,000円→26,000円です。
ZOZOはFY2023決算で年間購入者数が1,100万人を超えており、ファッションコーディネートアプリ「WEAR」との連携による集客力を持っています。自社で物流やささげを回す余力がないブランドや、ZOZOの集客力に価値を感じるブランドにとっては合理的な選択肢です。一方で、出店には審査があり(選考基準は非公開)、初期費用や契約条件も個別交渉となるため、小規模ブランドには参入障壁が高めです。
「Fulfillment by ZOZO」というサービスでは、ZOZOの在庫とブランド自社ECの在庫を一元管理することも可能になっています。契約条件を満たせば自社ECチャネルにもZOZOの物流網を使えるため、在庫の分散による欠品リスクを減らす選択肢として知っておく価値はあります。
アパレル4商品の配送コスト比較表|自社EC・Amazon・楽天(2026年版)
自社EC・Amazon FBA・楽天の3チャネルで、4アイテムを販売したときのコスト内訳と手残りを並べます。自社ECの決済手数料は3.5%、楽天の変動費率はスタンダードプランで月商200万円程度を想定して10%で計算しています。在庫保管料は変動要素が大きいため表には含めず、補足で触れます。
Tシャツ(6,000円)
| 項目 | 自社EC | Amazon FBA | 楽天(RSL) |
|---|---|---|---|
| 配送料 | 185円(クリックポスト) | 318円(標準-1) | 251円(メール便199円+出荷作業52円) |
| 販売手数料 | 0円 | 624円(実効10.4%) | 0円(変動費に含む) |
| 決済手数料/変動費 | 210円(3.5%) | 0円(販売手数料に含む) | 600円(約10%) |
| 合計コスト | 395円 | 942円 | 851円 |
| 手残り | 5,605円 | 5,058円 | 5,149円 |
薄物は自社EC+クリックポストが圧倒的に有利です。Amazonとの差は547円。月に500枚売れたら27万円以上の差になります。
スニーカー(18,000円)
| 項目 | 自社EC | Amazon FBA | 楽天(RSL) |
|---|---|---|---|
| 配送料 | 600円(宅配便60サイズ) | 472円(標準-3) | 506円(60サイズ422円+出荷作業84円) |
| 販売手数料 | 0円 | 1,632円(実効9.1%) | 0円(変動費に含む) |
| 決済手数料/変動費 | 630円(3.5%) | 0円 | 1,800円(約10%) |
| 合計コスト | 1,230円 | 2,104円 | 2,306円 |
| 手残り | 16,770円 | 15,896円 | 15,694円 |
スニーカーは箱入りのためメール便が使えず、自社ECでも宅配便が必須です。FBAの配送代行手数料(472円)が自社ECの宅配便(600円)より安い点が目を引きますが、販売手数料1,632円が加算されるため、トータルでは自社ECが有利です。さらに注意すべきは返品リスクです。スニーカーは足幅や甲の高さが合わずに返品される率が高く、Amazon FBAでは返送料も出品者負担です。返品が1件発生すると、往復の送料分(1,000円前後)がそのまま損失になります。
レザーバッグ(35,000円)
| 項目 | 自社EC | Amazon FBA | 楽天(RSL) |
|---|---|---|---|
| 配送料 | 700円(宅配便80サイズ) | 500円(標準-3〜4) | 587円(80サイズ503円+出荷作業84円) |
| 販売手数料 | 0円 | 3,060円(実効8.7%) | 0円(変動費に含む) |
| 決済手数料/変動費 | 1,225円(3.5%) | 0円 | 3,500円(約10%) |
| 合計コスト | 1,925円 | 3,560円 | 4,087円 |
| 手残り | 33,075円 | 31,440円 | 30,913円 |
高単価になるとAmazonの実効手数料率が下がり(8.7%)、楽天の変動費率(10%)を下回ります。自社ECとの差は1,635円です。レザーバッグはブランドの化粧箱に入った状態で出荷するため、化粧箱のサイズがそのまま配送サイズを決めます。自社ECでは化粧箱を丁寧に外箱へ入れ、手書きのメッセージカードを添えるといった工夫が、次回購入を自社ECに誘導する接点になります。
コート(40,000円)
| 項目 | 自社EC | Amazon FBA | 楽天(RSL) |
|---|---|---|---|
| 配送料 | 800円(宅配便100サイズ) | 580円(標準-4〜大型-1) | 704円(100サイズ599円+出荷作業105円) |
| 販売手数料 | 0円 | 3,480円(実効8.7%) | 0円(変動費に含む) |
| 決済手数料/変動費 | 1,400円(3.5%) | 0円 | 4,000円(約10%) |
| 合計コスト | 2,200円 | 4,060円 | 4,704円 |
| 手残り | 37,800円 | 35,940円 | 35,296円 |
コートはサイズが大きく配送料が高いですが、FBAの配送代行手数料は固定額なので、売価が上がるほど売価に対する配送料の比率は下がります。Amazonの注意点はシーズン在庫のリスクです。冬物コートを夏前にFBA倉庫に預けると、365日を超えた時点で月額20円/点の長期在庫追加手数料が発生します。売れ残った100着を放置すれば毎月2,000円、半年で12,000円です。
ZOZO受託販売の場合の手残り目安(手数料35%で計算):Tシャツ→3,900円、スニーカー→11,700円、レザーバッグ→22,750円、コート→26,000円。ささげ・物流・CSがすべて含まれる包括料金なので、上の3チャネルと単純比較はできません。自社でささげと物流を手配するコスト(ささげ外注1型あたり数千円+倉庫保管料+出荷作業料)を足し上げると、ZOZOの手数料が妥当かどうか判断できます。
まとめ買い時にコスト差はさらに広がる
上の比較表は1アイテム1点の注文を前提にしていますが、実際のアパレルECではTシャツ1枚だけで注文する人は少なく、複数点のまとめ買いが多いです。まとめ買いになると、チャネルごとのコスト構造の差がさらに大きくなります。
自社ECでは、3点を1箱にまとめて発送すれば配送料は1回分で済みます。Tシャツ3枚を60サイズの段ボール1箱で送った場合、配送料600円 ÷ 3 = 1点あたり200円。1点単独で送るより大幅に安くなります。楽天(RSL)も1梱包あたりの課金なので、同じ理屈でまとめ買いの恩恵があります。
一方、Amazon FBAの配送代行手数料は商品1点ごとに課金されます。購入者がTシャツ3枚を同時に注文し、Amazonが1箱にまとめて発送した場合でも、出品者が支払う配送代行手数料は318円 × 3 = 954円です。まとめ買いになっても1点あたりのコストは下がりません。販売手数料も1点ごとに計算されるため、注文点数が増えるほど自社ECとの利益差は開いていきます。
4アイテム・3チャネルの比較を通じて見えてくるのは、自社ECの手残りがすべての商品で最も大きく、まとめ買いを考慮するとその差はさらに広がるということです。Amazonは高単価になるほど実効手数料率が下がるため中〜高単価帯との相性が良く、楽天は39ショップルールの送料負担が変動費率に上乗せされるため手残りが最も小さくなりやすい。ZOZOは手数料35%前後と最も重いですが、ささげ・物流・CSの丸投げコストが含まれているため、自社で物流体制を構築するコストとの比較で判断する必要があります。
EC販売チャネルごとの利益構造と役割の違い
比較表を見ると「自社ECが一番安いなら、そこだけで売ればいいのでは」と思うかもしれませんが、現実にはそうなりません。自社ECだけでは集客力が足りず、Amazonや楽天の検索流入やモール経済圏のユーザーに商品を見つけてもらう必要があります。販売チャネルごとに品揃えを変えるわけにはいかないので、全チャネルに同じ品揃えを出すのが基本です。
ただ、同じ商品を売っていてもチャネルごとに手残りがこれだけ違う以上、各チャネルが利益構造の中で果たしている役割を意識して管理しないと、「売上は伸びているのに利益が出ない」に陥ります。
Amazonは集客装置です。プライムの信頼性と検索流入でブランドを知らない新規顧客と出会える場所です。手数料と返品コストが重いので、Amazonチャネル単体の利益率は低くても構わないという前提で運用します。ここで初めて購入した顧客を、次回以降は自社ECに呼ぶ導線を設計するのがセットです。
楽天は楽天経済圏ユーザーの囲い込みです。スーパーSALEやお買い物マラソン、ポイント還元を活用してまとめ買いを誘導し、客単価を3,980円以上に引き上げて39ショップの送料負担を吸収する設計が前提になります。楽天ポイントを貯めている層は楽天から離れにくいため、リピート率が比較的高いのが特徴です。
自社ECは利益の本丸です。手数料が決済手数料(3〜4%)だけなので利益率が最も高く、同梱物やブランド体験の自由度も最大です。Amazonや楽天で認知した顧客をリピートで自社ECに呼び込むことで、チャネル全体の利益率が改善します。
ZOZOTOWNはブランド露出と信頼性の獲得です。手数料は最も重いですが、ささげ・物流・CSの丸投げで運営負荷がほぼゼロになります。ZOZOに出店しているブランドは「ZOZOの審査を通過している」という信頼性を得られるため、自社ECや他チャネルのブランディングにも波及します。
この役割の違いを可視化するには、チャネル別のPL(損益)を分けて管理することが必要です。OMS(受注管理ツール)でチャネルごとの売上・コスト・利益を出せる仕組みについてはEC向け受注管理ツール比較の記事にまとめてあります。
どのチャネルにも共通して言えるのは、2026年以降も宅配便の運賃は上がり続けるということです。改正物流効率化法(2026年4月施行)により荷主側にも物流効率化の義務が課されるようになり、運送会社の値上げ交渉力はさらに強まっています。薄く、小さく梱包する工夫が全チャネルで利益に直結する時代です。
アパレルECの返品率は日本でも高い
アパレルは他のカテゴリと比べて返品率が高い商材です。民間調査会社Recustomerの調査(2023年度)によると、日本のEC全体の平均返品率は6.61%です。アパレル・ファッションカテゴリに限ると、物流代行企業Stockcrewが10〜25%程度と紹介しています。いずれも民間企業の調査であり、公的統計ではありません。海外のアパレルEC返品率(20〜40%)ほどではありませんが、それでもEC全体の2〜4倍です。
なお、経済産業省の「電子商取引に関する市場調査」やJADMA(日本通信販売協会)の統計には、アパレルECに特化した返品率の公的な全体平均値は公表されていません。日本のアパレルEC返品率を正確に把握できる業界統計が整備されていないこと自体が、この業界の課題の一つです。
返品理由の上位は、株式会社エートゥジェイの調査によると「実際の商品がイメージと違う」(34.5%)、「服のモデルの体型が実際の自分の体型とかけ離れていてイメージしづらい」(31%)、「着用感・使用感がわからない」(28%)です。商品の不良品やサイズの採寸ミスよりも、オンラインの画像やテキストと消費者の期待の間にある「情報の非対称性」が主因であることが分かります。
チャネルごとの返品ポリシーの違いは、返品率の構造差に直結します。Amazonは返送料を全額出品者が負担(30日間無料返品)、楽天ファッションは返品交換手数料1,320円が顧客負担(2026年6月時点)、ZOZOTOWNは返品処理をZOZO側が運用(コストは手数料に内包)、ユニクロオンラインは返送料が顧客負担、SHEINは初回のみ無料で2回目以降は1,200円差し引き。Amazonの「返品のハードルが最も低い」構造が、出品者にとっての返品リスクを構造的に押し上げています。
返品率を下げるには、ささげ業務(撮影・採寸・原稿)の精度を上げることが最も直接的に効きます。実寸の測り方が雑だったり、商品説明文に着用感の情報が不足していたりすると「サイズが合わない」系の返品が増えます。また、商品画像の色味が実物と違うことも大きな返品要因です。撮影時のライティングやモニターの色設定が甘いと、購入者が届いた商品を見て「画面で見た色と全然違う」と感じて返品につながります。ささげの外注先と品質管理についてはささげ業務の代行会社おすすめ20選とささげ代行の料金相場にまとめてあります。
アパレルECの配送コストは、配送料だけで比較しても実態が見えません。販売手数料、返品コスト、まとめ買い時の課金構造まで含めて初めて、どのチャネルで儲かっていてどこで損しているのかが分かります。自社ECの手残りが最も大きいという事実は4アイテムすべてで一貫しており、Amazonや楽天は集客とブランド認知の投資先として利益率を割り切る判断が必要です。チャネル別PLを分けて管理し、返品率を下げるためにささげの精度を上げる。この2つが、配送コストの上昇が続く2026年以降のアパレルEC運営の基本になると考えています。
FAQ
Q. アパレルECで一番送料が安い配送方法は?
A. 自社ECサイトからクリックポスト(全国一律185円)で発送するのが最安です。ただし厚さ3cm・重量1kg以内に収まる薄物に限られます。Tシャツやインナーは対応できますが、スニーカーの箱やコートは入りません。
Q. Amazon FBAの服カテゴリの販売手数料は何%?
A. 2026年4月改定後の販売手数料は、1商品あたりの売上合計のうち3,000円以下の部分が12.4%、3,000円を超える部分が8.4%です。たとえば6,000円のTシャツなら手数料は624円(実効10.4%)、40,000円のコートなら3,480円(実効8.7%)になります。高単価の方が実効手数料率は下がります。
Q. ネコポスは廃止された?
A. 2026年現在、ネコポスは廃止されていません。ヤマト運輸は当初2024年度末までにネコポスを廃止してクロネコゆうパケットへ移行する予定でしたが、2025年1月に方針を転換し、翌日配達を維持するネコポスの提供を継続すると発表しました。現在はネコポスとクロネコゆうパケットが併存しています。
Q. 楽天市場で送料無料にしないとダメ?
A. 39ショップルールにより、3,980円(税込)以上の購入で送料無料(店舗負担)にする必要があります。一部の大型商品や特定商材は例外です。6,000円以上のアパレルなら単品で条件を超えますが、低単価の小物やインナーでは客単価が3,980円に届かず、送料を店舗側が吸収する構造になります。
Q. ZOZOTOWNの手数料はいくら?
A. ZOZOTOWNの受託販売手数料は販売価格の20〜40%とされています。ブランドや規模によって個別契約で決まるため公式には非公開ですが、ZOZOの決算データから逆算すると実質35%前後です。この手数料にはささげ(撮影・採寸・原稿)、保管、梱包、発送、カスタマーサポートの費用がすべて含まれています。
Q. アパレルECの返品率は日本ではどのくらい?
A. 民間調査会社Recustomerの調査(2023年度)によると日本のEC全体の平均返品率は6.61%で、アパレルに限ると物流代行企業Stockcrewが10〜25%程度と紹介しています。経済産業省やJADMA(日本通信販売協会)にアパレルECに特化した公的な返品率統計は存在しません。海外のアパレルEC返品率(20〜40%)と比べると日本は低い傾向にありますが、それでもEC全体の2〜4倍です。
Q. FBAで同梱物(サンクスカード等)は入れられる?
A. 商品パッケージの中にサンクスカードやブランド紹介を封入すること自体は可能です。ただし、自社ECサイトなどAmazon外部への誘導リンクやQRコード、高評価レビューを条件とした割引クーポンなどを記載することはAmazonの規約違反になります。発覚すると警告や出品停止等の措置を受ける可能性があるため、同梱物はブランドストーリーの伝達や着用方法の案内に留めるのが安全です。
Q. スニーカーの返品率は服より高い?
A. 一般的に高い傾向にあります。足幅や甲の高さは実際に履いてみないと分からず、ブランドやモデルによってサイズ感が異なるため「サイズが合わない」が返品理由の大半を占めます。Amazon FBAでは30日間返品無料(返送料は出品者負担)が適用されるため、試し履き目的の購入と返品が構造的に発生しやすくなっています。