【EC事業者向け】PHP脆弱性php2shellで止まったカート・モールを一晩追跡
こんにちは、ツバサです。
PHPの重大な脆弱性「php2shell」の修正版が出た2026年10月21日の夜、各社の告知とSNSを一晩追いかけた。先に結論を書くと、止まったのは買い物をする人が使う画面より、出店者が使う管理画面や受注システムのほうだった。楽天の店舗管理画面RMSは夜中に少なくとも約5時間入れなくなり、受注管理や倉庫のシステムも止まり、futureshopは全店舗のECサイトと管理画面が朝になっても戻らなかった。
各社の対応を比べると、評価を分けたのは止めていた時間の長さより、止めている間に何を知らせたかだった。理由と範囲と見通しを書き続けたLOGILESSやエックスサーバーと、メンテナンス画面だけを出していた楽天RMSやネクストエンジンとでは、出店者が朝の段取りを決められるかどうかがまったく違った。いちばん見通しが外れたのは、「30分〜1時間程度」の予定が夜通しの全店舗停止になったfutureshopだ。
この記事は、日本時間21日夕方から22日朝までに確認できたことを、時刻つきで残した記録だ。時刻は各社の告知や公式アカウントの投稿で確かめたものを使い、確かめられなかったことはそう書いている。
この記事でわかること
- php2shell(CVE-2026-109618・CVE-2026-109619)の修正版が予定より26分早く出た経緯
- 楽天RMS・BASE・futureshop・ネクストエンジン・LOGILESSなど、EC出店者の業務が止まった場所と時刻
- エックスサーバー・さくら・ロリポップなどレンタルサーバー各社の止め方と、PHP 8.1以前の扱い
- 夜のあいだに書き換わった告知と、SNSで流れてきた話の答え合わせ
- 対応がうまくいかなかった会社、早かった会社・遅かった会社、説明が足りなかった会社・丁寧だった会社の評価
- AIで脆弱性が見つかりやすくなった今、EC事業者が普段からやっておくこと
- カートや受注管理の業者を選ぶときに、緊急時の告知で見ておきたい4つのこと
目次
- php2shell(CVE-2026-109618・CVE-2026-109619)とは|PHP公式の事前告知の内容
- PHP修正版の公開前に止まったサービス|BASE・エックスサーバー・コドモンの緊急メンテナンス時系列
- PHP 8.5.12など修正版は予定より前に公開された|php2shellの悪用観測は「攻撃あり」と「被害未確認」に割れた
- 楽天RMS・ネクストエンジン・LOGILESSも停止|php2shellでEC出店者の受注・出荷業務が止まった場所
- エックスサーバー・さくら・ロリポップの対応|修正版が出ないPHP 8.1以前は独自修正待ち
- 一晩で書き換わった告知と、SNSで流れてきた話の答え合わせ
- php2shellの夜の対応を出店者の立場で評価する|futureshop・ネクストエンジン・楽天RMSとLOGILESS・エックスサーバーの差
- カート・受注管理・サーバー会社を選ぶ側として、緊急メンテナンスの告知で見えたこと
- AIで脆弱性が見つかりやすくなった今、EC事業者が安全に運用するためにやっておくこと
- FAQ
php2shell(CVE-2026-109618・CVE-2026-109619)とは|PHP公式の事前告知の内容
PHPの開発チームは2026年10月20日、公式サイトのニュース欄に「Upcoming Critical PHP Security Release」という告知を出した。CVSS v4.0で9.2と評価された重大な脆弱性2件を修正するリリースを、10月21日14時(協定世界時)に出すという内容だ。日本時間では21日の23時にあたる。
P Upcoming Critical PHP Security Release php.net告知の時点では、どのバージョンが影響を受けるのか、どう直るのかは書かれていなかった。影響するバージョンと修正版はリリース時に公開する、と書かれていただけだ。そのうえで、脆弱性の詳細が外に出た場合や実際の悪用が確認された場合は、予定より早くリリースすることがあるとも明記されていた。
報道では、2件はCVE-2026-109618とCVE-2026-109619として扱われ、外部からサーバー上で任意のコードを実行されるおそれがあるとされた。研究者の間では「php2shell」という呼び名が使われている。IPAも21日に、PHPの修正版が出たらすぐ当てられるよう事前の準備を呼びかける注意喚起を出した。この時点でIPAは、悪用された攻撃は確認していないとしていた。
I 【事前準備のお願い】PHPのセキュリティリリース公開予定について ipa.go.jp I PHPに「緊急」レベルの脆弱性2件 修正版を日本時間21日深夜に公開へ、事前準備を呼び掛け itmedia.co.jpEC担当の立場で言うと、まず気にするのは「うちの店はPHPで動いているのか」だ。WordPressやWooCommerce、EC-CUBEなどで自社サイトを作ってレンタルサーバーに置いている場合は、サーバーのPHPそのものが対象になる。BASEやShopifyのように運営会社が丸ごと提供するサービスなら、店側でPHPを触ることはなく、運営会社の対応を待つことになる。今回は後者の運営会社が次々に止まったので、自分では何もできないままネットショップが止まった出店者が多かった。
PHP修正版の公開前に止まったサービス|BASE・エックスサーバー・コドモンの緊急メンテナンス時系列
PHPの修正版が出る前から、国内のサービスは次々に止まっていった。公式の告知や公式アカウントの投稿で時刻を確かめられたものを、日本時間で並べる。右の列には、各社が止めた理由を告知にどう書いたか、国の呼びかけが何についてのものだったかを書いた。
| 日本時間 | 出来事 | 止めた理由・呼びかけの書き方 |
|---|---|---|
| 21日 4:25ごろ | PHP公式が事前告知を掲載(PHPの修正版は21日23時の予定) | ― |
| 21日 13:00ごろ | さくらのレンタルサーバが緊急メンテナンス開始(翌8時ごろまで) | 止めた理由は書かれていなかった |
| 21日 13:01 | 国家サイバー統括室がXで、PHPの修正版をすぐ当てられるよう準備を呼びかけ | PHPの脆弱性への備えだと名指しして呼びかけた |
| 21日 14:16 | コドモンが保護者アプリを含む全サービスを順次停止 | 「利用しているソフトウェアに重大な脆弱性」と書き、PHPの名前は出していない |
| 21日 15:50 | BASEが緊急メンテナンス開始。当初の22時開始から前倒し(ショップの閲覧・注文、管理画面も停止) | 止めた理由を、PHPの脆弱性への対応だと書いていた |
| 21日 16:00 | エックスサーバーが公式サイトと管理画面を停止(利用者のサーバーとサイト表示は継続) | 「使用しているソフトウェア」の脆弱性と書いた。PHPの名前はFAQで出していた |
| 21日 19:00 | ConoHa WINGとお名前.com レンタルサーバーが、同じ時間帯(翌10時まで)の保守作業を開始 | どちらも「システムの保守作業」とだけ書き、止めた理由は書かれていなかった |
| 21日 20:00 | futureshopがCMSサーバーオプションなどを停止(再開は未定) | 止めた理由を、PHPの脆弱性への予防措置だと書いていた |
| 21日 21:44 | 国家サイバー統括室が「すぐ当てられないならサイトの一時停止も有効」と投稿 | PHPの脆弱性への対応だと名指しして呼びかけた |
| 21日 21:55 | 高市首相がXで「今夜に対応して頂きたい大至急のお願い」と投稿 | PHPの脆弱性への対応だと名指しして呼びかけた |
| 21日 22:00 | カラーミーショップが全面停止(終了時刻は未定)。受注・倉庫システムのLOGILESSも停止(翌4時まで) | カラーミーは止めた理由を、PHPの脆弱性への対応だと書いていた。LOGILESSは「ソフトウェアの脆弱性」と書き、PHPの名前は出していない |
| 21日 22:10 | mixhostがマイページを停止 | 「予防的なセキュリティ強化」とだけ書き、PHPの名前は出していない |
首相が個別の脆弱性について「今夜」と期限を切って呼びかけるのは、僕の記憶ではあまり見たことがない。表示回数は2,000万回を超えていた。
X 高市早苗首相の投稿(2026年10月21日21:55) x.com X 国家サイバー統括室(注意・警戒情報)の投稿(2026年10月21日21:44) x.com表を作っていて気になったのは、理由の書き方がそろっていないことだ。BASEやカラーミーショップはPHPの名前をはっきり出している。一方で、さくらやConoHa WING、お名前.comは理由を書かずに「保守作業」とだけ書いていた。コドモンは「利用しているソフトウェア」とぼかしている。止める側にも、名前を出すと「うちのシステムはPHPで動いている」と公表することになる、という事情があるのかもしれない。
SNSで流れてきた話を確かめた記録(21日夜)
- 「BASEが緊急メンテに入った」→ BASEのヘルプページで確認。理由はPHPの脆弱性への予防措置と明記されていて、不正アクセスや情報漏えいは確認されていないと書かれていた
- 「修正前に情報が漏れ、攻撃ツールの画面が出回っている」→ 公表前に情報が出回ったことは複数の報道が伝えていた。攻撃ツールそのものは僕は確かめていないし、確かめるつもりもない
- 「Cloudflareが攻撃の兆しを観測した」→ CloudflareのCTOが16:43に「初期の攻撃が出始めている」と投稿していた。一方でwatchTowrやHuntressは、この時点で実際の悪用は確認していないとしていた
PHP 8.5.12など修正版は予定より前に公開された|php2shellの悪用観測は「攻撃あり」と「被害未確認」に割れた
PHPの修正版は、予告の23時を待たずに出た。GitHubのセキュリティ勧告が公開されたのは22:34で、予定の26分前だ。前倒しの理由は、PHP公式のどの告知にも書かれていなかった。
| 日本時間 | 出来事 |
|---|---|
| 21日 22:34 | GitHubでPHPのセキュリティ勧告2件が公開(修正版は8.5.12・8.4.27・8.3.36・8.2.35) |
| 21日 22:41 | CloudflareのCTOがXで「PHPの変更が公開された。パッチを当て始めて」と投稿 |
| 21日 22:44 | WordPress.orgが告知を掲載。WordPress側の更新はなく、サーバーのPHPを今すぐ更新するよう呼びかけ |
| 21日 22:48・22:54 | 2件のCVE(CVE-2026-109618・CVE-2026-109619)の登録情報が公開 |
| 21日 22:56 | Cloudflareがブログで「顧客を狙った攻撃の通信を観測している」と公表 |
| 21日 22:57 | 国家サイバー統括室が「可及的速やかに適用を」と投稿 |
| 21日 22:57 | Patchstackが「探りを入れる攻撃だけで、侵害の確証はまだない」と記録 |
| 21日 23:35 | watchTowrがFAQの悪用欄を「報告なし」から「実際の悪用あり」に変更(自社のおとりサーバー網での観測) |
PHP公式の勧告によると、影響を受けるのは各系列で修正版より前のバージョンだ。8.1以前には、PHPのプロジェクトとしての正式な修正版は出ない。ただ、深刻さを考えて、7.4・8.0・8.1向けに今回の2件だけを直す最小限のソースの修正が、自分でビルドする人向けに用意された。設定を変えて防ぐ方法についても、「完全な緩和策はない。更新だけが安全な選択」と書かれていた。
悪用については、夜のあいだ見解が割れたままだった。Cloudflareは攻撃の通信を観測し、watchTowrも23:35に「実際の悪用あり」へ切り替えた。ただ、watchTowrの観測は自社が世界中に置いたおとりのサーバー(ハニーポット)に届いた攻撃のことで、どこかの会社が侵入されたという話とは別だ。一方で、PatchstackはPHPの修正版の公開直後の時点で「探りを入れる攻撃だけで、侵害の確証はない」としていた。国内でも、IPAとJPCERT/CCの注意喚起は、PHPの修正版が出たあとの深夜のうちには更新されなかった。
C Cloudflare deploys protections against php2shell vulnerability blog.cloudflare.com W PHP RCE FAQ: PHP2Shell CVE-2026-109618 & CVE-2026-109619 watchtowr.com「攻撃が来ている」と「被害が出た」は、同じ話のように聞こえて中身がまったく違う。SNSでは前者が後者のように語られる場面が何度もあった。僕は、会社名と被害がセットで公式に発表されるまでは「被害」とは書かないことにした。
見つけた経緯については、日付が変わってから報道が出た。セキュリティ企業のCalifが8月に2件を見つけてPHPに報告し、Wizも別に見つけて報告していたという。CalifはOpenAIの脆弱性対策の取り組みの一環として調べていたそうだ。
楽天RMS・ネクストエンジン・LOGILESSも停止|php2shellでEC出店者の受注・出荷業務が止まった場所
今回いちばん書き残しておきたいのが、この見出しの話だ。買い物をする人が使う画面は動いているのに、出店者が使う管理画面が止まっていた。
21日の夜、楽天市場では買い物も検索もいつもどおりできた。ところが店舗が使う管理画面のRMSは、23:17に開いたときにはメンテナンス画面になっていた。画面の文面は「システムの不具合のため」で、PHPという言葉は出てこない。楽天市場の購入者向けの障害情報ページにも「報告されているメンテナンス・障害情報はございません」と出ていた。この日は楽天のブランドデーの最終日で、注文は入ってくるのに、店のほうは受注を処理する画面に入れない状態だったことになる。
受注や在庫をまとめて管理するツールや、倉庫のシステムも止まった。受注を処理して出荷するには、モールの管理画面とこうしたツールの両方が動いている必要がある。僕の職場でも、朝いちばんに受注を取り込んで出荷指示を出す流れなので、どちらか片方が朝まで戻らなければ、その日の発送はまるごと後ろにずれる。
| サービス | 止まったもの | 止まっていた時間(日本時間) | 止めた理由の書き方 |
|---|---|---|---|
| 楽天RMS | 店舗管理画面(ログインできなくなった) | 21日23:17に見たときには止まっていた。22日4:11〜4:41のあいだに戻った | 「システムの不具合のため」とだけ書き、PHPには触れていない |
| BASE | ショップの閲覧・注文、管理画面、API | 21日15:50〜22日8:00(終了予定の7:00から延長し、8:45に完了を告知) | 止めた理由を、PHPの脆弱性への対応だと書いていた |
| カラーミーショップ | ショップの閲覧・購入、管理画面 | 21日22:00〜22日7:20にショップと管理画面が再開、8:49にすべて完了 | 止めた理由を、PHPの脆弱性への対応だと書いていた(CVE番号まで) |
| MakeShop | 管理画面、ショップの閲覧・購入、API、メール | 21日23:00〜22日4:42(終了予定は4:00。4:42に完了したと朝になって告知) | 夜のあいだは「予防的な措置」とだけ書いていた。朝の完了の告知でPHPの脆弱性が理由だと書き足した |
| futureshop | 全店舗のECサイト・管理画面・FTP・API(7時ごろからは契約ドメインのメールも) | 21日21:36〜。22日10:30の第三報で再開の見込みは12:30ごろ | 止めた理由を、PHPの脆弱性への対応だと書いていた |
| ネクストエンジン | 全機能(ログイン画面がメンテナンス画面になった) | 21日19:00に止まった。22日8:45〜9:12のあいだに戻った | 夜のあいだは公開の告知が見つからなかった。22日9:00に「続報」を出したが、止めた理由は書かれていない |
| LOGILESS | 受注・倉庫システムの全機能、モールとの連携 | 21日22:00に止めた。22日0:43〜1:15のあいだに戻った(終了予定は4:00) | 「ソフトウェアの脆弱性」と書き、PHPの名前は出していない |
| GoQSystem | ログイン画面(メンテナンス画面になった) | 21日23:44に見たときには止まっていた。22日7:03〜7:40のあいだに戻った | 今回の停止についての告知が見つからなかった |
| GMOペイメントゲートウェイ | 会社のWebサイト(決済には影響がないと告知していた) | 21日22:40に止めた。22日0:23〜0:43のあいだに戻った | 「緊急メンテナンス」と書き、PHPには触れていない |
| SBペイメントサービス | 会社のWebサイトと問い合わせフォーム | 21日23:44に見たときには止まっていた。22日10:17〜10:48のあいだに戻った | 最初は止めた理由を書いていなかった。夜中に「PHPの脆弱性に対する未然の予防措置」と書き足した |
いちばん長引いたのはfutureshopだ。告知の流れを並べる。
| 日本時間 | futureshopの告知・状態 |
|---|---|
| 21日 夕方 | 「18:30以降、30分〜1時間程度」の緊急メンテナンスと案内 |
| 21日 20:00 | PHPの脆弱性への予防措置として、CMSサーバーオプションなどを停止 |
| 21日 21:36 | 全店舗のECサイト・管理画面・FTP・APIを停止(6:00の第二報による) |
| 22日 6:00 | 第二報。PHPの脆弱性への対応が終わっていないとして停止を継続。再開の時刻は「お知らせが難しい状況」、次の案内は10時ごろ |
| 22日 7:00ごろ | 契約しているドメインのメールの送受信も止めていると追記 |
| 22日 10:00ごろ | 第二報で予告していた次の案内は、10:17の時点では出ていなかった |
| 22日 10:30 | 第三報。PHPの脆弱性への対策が終わっておらず全サービスを停止中。再開の見込みは12:30ごろ、次の案内は12時ごろ。「当初のご案内から大幅に時間が延び、営業やお客様対応に多大なご影響」が出ていると謝罪 |
futureshopで店を出している会社にとっては、夜から朝まで、ECサイトも管理画面も使えない状態が続いたことになる。
F 【第二報】 futureshop緊急メンテナンス継続のお知らせ future-shop.jp表の「〜のあいだに戻った」は、僕が30分ほどの間隔で見に行って、前回は止まっていて今回は戻っていた、という意味だ。各社が復旧の時刻を告知していなかったので、この幅でしか書けない。
一方で、Amazon、Yahoo!ショッピング、Qoo10、ZOZOTOWNは、外から見える範囲では一晩じゅう変化がなかった。告知も出ていない。メルカリは22:50に「臨時メンテナンスを実施する可能性」を告知したが、結局止めなかった(この経緯は後で書く)。
お金まわりも見ておく。クレジットカード会社は、22日8:07に主な10社(楽天カード・三井住友カード・JCB・セゾン・イオン・エポス・PayPayカード・dカード・アメックス・三菱UFJニコス)の公式サイトを開いたが、メンテナンス画面になっているところはなかった。会員ページの中までは確認していない。銀行と証券会社では、共同通信が次のように伝えていた。
| 金融機関 | 報道された内容 |
|---|---|
| 全国銀行協会 | 銀行間の決済関連への影響は確認されていない |
| 静岡銀行 | 21日、ネットバンキングを一時停止すると発表 |
| 七十七銀行 | 予防的な措置として一部サービスを停止 |
| みずほ銀行 | システムの安全性向上のため臨時メンテナンスを実施 |
| 大和証券 | 口座開設を含むウェブサイトでのサービスを一時停止 |
| 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 本人確認などの手続きを停止 |
Xでは出店者の声も流れていた。名前は伏せて、内容だけ書いておく。
| 日本時間 | 投稿した人 | 内容 |
|---|---|---|
| 21日 23:02 | 楽天とYahoo!ショッピングに出店している人 | 受注システムも倉庫システムも緊急メンテ、楽天RMSもメンテに入った。明日の午前に戻らないと出荷が遅れる。Amazonは何も変わらない |
| 21日 23:20 | MakeShopで通販サイトを出している個人 | MakeShopの緊急メンテナンスで、通販サイトを明け方まで閉じる |
| 21日 23:46 | 別の出店者 | PHPの件で楽天のRMSまで止まるとは思わなかった(楽天自身は、止めた理由にPHPを挙げていない) |
| 21日 23:49 | MakeShopで公式ストアを出している会社 | MakeShopの緊急メンテナンスで、ストアの閲覧も購入もできない。再開の目途が立ったら知らせる |
| 22日 1:47 | MakeShopで通販サイトを出している別の店 | 安全が確認されるまで通販サイトを一時クローズ |
カートやモールが止まると、そのサービスで店を出している人が、自分のお客さんに事情を説明することになる。昨晩は、それがいくつも重なっていた。
エックスサーバー・さくら・ロリポップの対応|修正版が出ないPHP 8.1以前は独自修正待ち
自社サイトを自前のPHPで動かしている場合、頼りになるのはレンタルサーバー会社の対応だ。今回は各社とも、利用者のサイトの表示は止めずに、自社の公式サイトや管理画面のほうを止める形が多かった。
| サーバー会社 | 止めたもの | 止めていた時間(日本時間) | 止めた理由の書き方 |
|---|---|---|---|
| エックスサーバー(シン・レンタルサーバーも同じ) | 公式サイト・管理画面・サポート窓口(利用者のサイトとメールは継続) | 21日16:00〜。22日9:30に管理画面と各種機能を再開(シンクラウドと一部機能を除く)。公式サイトは22日中に再開する予定と告知 | お知らせでは「使用しているソフトウェア」の脆弱性と書き、PHPの名前はFAQで出していた |
| さくらのレンタルサーバ | サーバーに一時的に接続できない場合があると告知。22:00からphpMyAdminなども止め、23:00から「PHPバージョンアップ」の作業 | 21日13:00ごろ〜。レンタルサーバ・マネージドサーバのメンテナンスは21日22:30に完了、PHPバージョンアップは22日6:30に完了と告知 | 最初の告知には理由がなかった。あとから出した作業の告知で、作業の中身を「PHPバージョンアップ」と書いた |
| ロリポップ! | サービスサイト・ユーザー専用ページ・APIなど。22日10:17に見たときは、利用できないものの一覧に「お客様のサイト」が加わっていた | 21日から止めていて、22日10:17に見たときも止まっていた | 止めた理由を、PHPの重大な脆弱性への予防措置だと書いていた |
| ConoHa WING | サーバーに一時的に接続できない場合があると告知 | 21日19:00〜22日10:00の予定(10:17に見たときは、サポートページから告知が消えていた) | 「システムの保守作業」とだけ書き、止めた理由は書いていない |
| お名前.com レンタルサーバー | サーバーに一時的に接続できない場合があると告知 | 21日19:00〜22日10:00の予定(ConoHa WINGと同じ時間帯。8:30に見たときも告知は変わっていなかった) | 「システムの保守作業」とだけ書き、止めた理由は書いていない |
| お名前.com 共用サーバーGS | すべての契約者のサーバーに、一時的に接続できない場合があると告知 | 21日23:00〜22日9:00の予定 | 「システムの保守作業」とだけ書き、止めた理由は書いていない |
| お名前.com デスクトップクラウド | 全プランのサーバー、コントロールパネル、新規申し込み | 20日21:00ごろから。21日19:41の時点で、再開の時期は決まっていなかった | 不正アクセスのお知らせの中で、サーバーを止めたと書いた(6番目の見出しで説明) |
| mixhost | 利用者向けのマイページ(サーバー、サイトの表示、メールには影響がないと告知) | 21日22:10〜22日8:30(8:30に完了と告知) | 「予防的なセキュリティ強化」とだけ書き、PHPの名前は出していない |
EC担当として気になったのは、エックスサーバーが出した進捗だ。並べると次のとおり。
| 進捗の時点 | 利用者のサーバーへの対応 |
|---|---|
| 22日 1:10 | 公式の修正版がある8.2〜8.5から順に修正の適用を開始。修正版が出ない古いPHPは自社で修正を作り始めたが、時間がかかる見込み |
| 22日 3:55 | 8.2〜8.5の適用を続けていて、全サーバーの完了まで数時間かかる見込み。古いPHPは修正の準備と検証を続けている |
| 22日 6:45 | 8.2〜8.5は対象の全サーバーへの適用が完了。古いPHPは一部のバージョンで準備が整い、検証が済んだものから順に適用を開始 |
| 22日 9:30 | シンクラウドを除き、アカウント管理画面と各種機能の提供を再開(一部はメンテナンス中)。公式サイトは22日中に再開する予定と告知 |
なお、3:55時点の進捗は、僕が4:11から7:03までに何度か見たときには表示されておらず、7:40に見たときに6:45時点の進捗と一緒に出ていた。
X 予防的な安全対策に伴う公式サイト・管理画面等の一時停止のお知らせ|エックスサーバー株式会社 xserver.ne.jpPHP公式は8.1以前に正式な修正版を出さない(7.4・8.0・8.1向けには、自分でビルドする人向けの最小限のソースの修正だけが出た)。古いPHPのまま動いているサイトは、サーバー会社が独自に手当てしてくれるのを待つか、自分でバージョンを上げるしかない。サーバーの管理画面でPHPのバージョンを選べる場合、何年も前に設定したまま放ってあることはよくある。僕も今回、担当しているサイトの設定を見直すつもりだ。
お名前.comについては、手元で確かめられたことがある。うちの会社のサイトはWordPressで作ってあり、お名前.comのレンタルサーバーに置いている。注文を受けるネットショップではなく、会社の案内やお知らせを載せているサイトで、ページの更新は僕がやり、サーバーまわりは制作会社に任せている。その制作会社に確認してもらったところ、22日11時ごろの時点でPHPは8.5.6のままで、修正版の8.5.12は当たっていなかった。サーバー全体に暫定の対策はかかっていると聞いたが、PHP公式は「完全な緩和策はなく、更新だけが安全な選択」としている。お名前.comのお知らせにも、10:55の時点でPHPについての告知はなかった。確かめられたのは1つのサーバーだけなので、お名前.comのすべてのサーバーが同じとは言えない。
11時を過ぎて、うちが保守を依頼している制作会社がお名前.comの管理画面から状況を確かめようとしたところ、混雑していてアクセスできず、時間を空けて調べ直すことになった。困っていたのはうちだけではない。Xでは10時半ごろから、お名前.comのサーバーに置いたWordPressのサイトについて、PHPを上げようとしたがログインできない、混雑していて入れない、という投稿がいくつも流れていた。11時過ぎにXに出ていたサーバー各社の対応状況のまとめでも、エックスサーバーとさくらは対応済み、お名前.comは対応未確認とされていた。
X WordPressを更新しようとしてログインできなかったという投稿(2026年10月22日10:31) x.com X お名前.comが混雑していてログインできないという投稿(2026年10月22日10:37) x.com X お名前.comでPHPのバージョンを上げたいのにログインできないという投稿(2026年10月22日10:56) x.com X お名前.comにログインできないという投稿(2026年10月22日11:03) x.com X サーバー各社のPHP脆弱性の対応状況をまとめた投稿(2026年10月22日11:08) x.comお名前.comのレンタルサーバーの緊急メンテナンスが終わったのかどうかも、はっきりしない。予定では22日10:00に終わるはずだったが、終わったという告知は見つからなかった。夜中に出ていたメンテナンスの告知のページは、朝から開けたり開けなかったりしていて、10:17に見たときは開けなかった。11:15ごろにお名前.comのお知らせのページを開くと、「発生中のメンテナンス・障害」の欄に「レンタルサーバー ベーシック・RS / AIホームページパック」が「10/22 23:59 終了予定」として出ていた。ただ、詳しいページは開けず、何のメンテナンスなのかは分からなかった。ページを開き直すと、この欄の一覧ごと消えていた。
Xでも10時台に、メンテナンスは時間的には終わっていそうだが、終わったとも終わっていないとも書かれていない、という投稿や、お名前.comからPHPについての通知が何も来ない、という投稿が出ていた。
X お名前.comの緊急メンテナンスが終わったのか分からないという投稿(2026年10月22日10:13) x.com X お名前.comからPHPについての通知が何もないという投稿(2026年10月22日10:29) x.comそのあと、22日のうちに、お名前.comはPHPについての告知「【重要】[お名前.com レンタルサーバー] PHPの脆弱性への弊社対応について」を出した。掲載の時刻は書かれていないが、10:55にお知らせの一覧を見たときにはまだ出ていなかった。告知では、21日から続けていた緊急メンテナンスと、ファイルマネージャー・Webメールの一時停止は、どちらもPHPの脆弱性への対応だったと書いている。前の夜の告知が「システムの保守作業」とだけ書いていたものの理由が、ここで初めて分かったことになる。
ただ、肝心のセキュリティパッチの適用は「順次進めております」とあるだけで、いつ終わるのかは書かれていなかった(20時45分時点で完了したという告知は、この節の最後の続報に書いた)。利用者が使っているPHPのバージョンはそのままで、お名前.comがパッチを当てるので、基本的には利用者がPHPのバージョンを変える必要はない、という案内だった。PHPの5系や7系を使っている場合は、バージョンの変更が必要なこともあるとしている。
お 【重要】[お名前.com レンタルサーバー] PHPの脆弱性への弊社対応について onamae.com同じ日には、22日12:00〜21:00の緊急メンテナンスも新しく告知された。対象はレンタルサーバーのベーシック・RSプラン・AIホームページパックと、共用サーバーSD・ホームページエディターの利用者で、作業内容は前の夜と同じ「システムの保守作業」だった。サーバーを再起動するので、サーバーごとに数分から数十分ほど使えない時間が出ると書いている。
同じ時間のエックスサーバーとさくらを並べると、差ははっきりしている。
| サーバー会社 | PHPの修正 | 利用者への案内 | 22日昼前の管理画面 |
|---|---|---|---|
| エックスサーバー | 6:45に、PHP 8.2〜8.5の対象の全サーバーで修正を終えたと告知。修正版のない古いPHPは、自社の修正を順に当てている | 管理画面の再開後に、利用者に追加の対策をお願いする場合があると書いていた | 9:30から順に再開(シンクラウドなどを除く) |
| さくらのレンタルサーバ | 6:30にPHPのバージョンアップを終えたと告知。22日付のお知らせで、コントロールパネルで選べるすべてのPHPバージョンで対応を終えたと書いた | 利用者が急いでやることはないと明記。古いPHPを使っている人には8.3を使うよう案内した | phpMyAdminとウェブメールはまだ対応中と告知していた(コントロールパネルに入れるかは確かめていない) |
| お名前.com レンタルサーバー | 11時ごろ、うちの会社のサイト(WordPress)のPHPは8.5.6のままで、修正版は当たっていなかった。PHPについての告知は、10:55に見たときにはなかった。そのあと22日のうちに出た告知では、パッチの適用を「順次進めております」とだけ書き、終わる時刻は書いていなかった。完了を告知したのは22日20:45時点(この節の最後の続報を参照) | 22日の告知で、基本的に利用者がPHPのバージョンを変える必要はないと案内した(5系・7系は変更が必要な場合あり)。21日からの緊急メンテナンスが終わったかどうかの告知は見つからず、22日12:00〜21:00の新しい緊急メンテナンスを告知した | 11時過ぎ、混雑でうちが保守を依頼している制作会社も管理画面に入れなかった。同様の会社がXのポストでも複数あった。 |
エックスサーバーとさくらは、修正をサーバー会社の側で当てて、当てたことを知らせていた。利用者は管理画面に入れなくても、告知を読めば待っていればいいと分かった。お名前.comは、修正を当てたという知らせがないうえに、自分で設定を確かめようにも管理画面に入れない。22日11時半の時点で、お名前.comの利用者は、修正が当たったかを確かめる方法も、安心できる情報も持てていなかった。そのあとに出た告知でも、パッチを当て終わる時刻は書かれておらず、12:00からは新しい緊急メンテナンスが始まった。
22日夜の続報:お名前.comは20時45分時点で修正の完了を告知した
22日の夜、お名前.comは「【重要】[お名前.com レンタルサーバー] PHPの脆弱性への弊社対応完了のお知らせ」を出した。20時45分時点で、レンタルサーバーのベーシック・RSプラン・AIホームページパックのサーバーへのセキュリティパッチの適用を終え、12:00〜21:00の予定だった緊急メンテナンスも20時45分に終わったという。Webメールとファイルマネージャーは18:30ごろに、phpMyAdminもあわせて再開した。告知に掲載の時刻は書かれておらず、20時50分ごろにお知らせのページを見たときは、まだ「メンテナンス中」と表示されていた。
パッチは、PHPのバージョンを上げずに修正プログラムだけを取り込む形で、提供中のすべてのバージョン(5.6〜8.5)に当てたとしている。そのため、WordPressの「サイトヘルス」などに表示されるバージョン番号は、PHP公式の修正版の番号(例:8.5.12)にはならず、これまでと同じ番号(例:8.5.11)のままの場合があると注意書きしていた。利用者がPHPのバージョンを変える必要はないという。
午前中に管理画面に入れなかったことについても、同じ日に告知が出た。お名前.comは、22日8:50ごろから17:15ごろまで、管理画面のお名前.com Naviにログインすると500エラーになる障害が起きていたとしている。うちが保守を頼んでいる制作会社が11時過ぎに入れなかったのも、この時間帯だった。
エックスサーバーとさくらと比べて、どれくらい遅かったかを並べておく。PHPの修正版が公開された21日22:34から、各社が修正を終えたと告知した時刻までの時間だ。
| サーバー会社 | 修正を終えたと告知した時刻(22日) | 修正版の公開(21日22:34)からの時間 | お名前.comとの差 |
|---|---|---|---|
| さくらのレンタルサーバ | 6:30(PHPのバージョンアップの完了。コントロールパネルで選べるすべてのPHPバージョンで対応を終えたと案内) | 約7時間56分 | お名前.comより14時間15分早い |
| エックスサーバー | 6:45(PHP 8.2〜8.5の対象の全サーバーで完了。修正版のない古いPHPには、その後も自社の修正を順に当てると告知) | 約8時間11分 | お名前.comより14時間早い |
| お名前.com レンタルサーバー | 20:45時点(提供中のすべてのPHPバージョンでパッチの適用を完了) | 約22時間11分 | ー |
お名前.comは、さくらやエックスサーバーの3倍近い時間をかけ、完了したのは2社が終えてから半日以上あとだった。その間、パッチがいつ当たるのかの見通しは示されず、朝から夕方までは管理画面にも入れなかった。お名前.comの評判を、口コミサイトの声や過去の出来事も含めて調べた記事は「お名前.comの評判は?|さくら・エックスサーバーなど競合レンタルサーバー会社と比較してみた」にまとめた。
お 【重要】[お名前.com レンタルサーバー] PHPの脆弱性への弊社対応完了のお知らせ(2026年10月22日20時45分時点) onamae.com お 【復旧済み】【お名前.com】お名前.com Naviにおける不具合の発生(2026年10月22日8:50〜17:15) onamae.com一晩で書き換わった告知と、SNSで流れてきた話の答え合わせ
今回は各社の告知ページの文面を30分おきに保存して、前回との違いを比べていた。すると、告知は出したら終わりではなく、夜のあいだに何度も書き換わっていた。
| 日本時間 | 会社 | 変わったところ |
|---|---|---|
| 22日 0:43〜1:15 | SBペイメントサービス | メンテナンス画面の「システム緊急メンテナンスのため」が「PHPの脆弱性に対する未然の予防措置(システム緊急メンテナンス)のため」に。止めた理由をあとから書き足した |
| 22日 1:34ごろ | 楽天ブログ(楽天ポイントモールの告知の掲載先) | メンテナンス画面の「10/21 23:00~10/21 08:00」が「~10/22 08:00」に直された |
| 22日 1:47〜2:18 | メルカリ | 見出しだけが「臨時メンテナンス実施の可能性について」から「臨時メンテナンス実施見送りについて」に。本文は「実施する可能性がございます」のまま、更新時刻の表示も22:50のまま |
| 22日 4:11 | MakeShop | 終了予定の4:00を過ぎても画面は「23:00~04:00」のまま。延長の告知はサイトにも公式Xにもなく、4:41には戻っていた |
| 22日 6:46ごろ | 楽天ブログ | 終了予定が「~10/22 08:00」から「~10/22 11:00」に延びた |
| 22日 6:29〜7:03 | BASE | 見出しが「緊急メンテナンス延長のお知らせ」に変わり、終了予定が7:00から8:00に延長 |
| 22日 7:01ごろ | futureshop | 契約しているドメインのメールの送受信も止めていると追記。問い合わせ先をメールからフォームに変更 |
| 22日 7:20 | カラーミーショップ | 「一部の画面で完了」と追記。ショップの表示・購入と管理画面は使えるようになり、WordPressで作ったページは引き続き対応中と分けて書いた |
| 22日 8:09〜8:45 | BASE | 見出しが「緊急メンテナンス完了のお知らせ」に。期間を「21日15:50〜22日8:00」と書き、予告した時間を変えたことと長く止めたことを謝罪 |
| 22日 9:00 | ネクストエンジン | 公開のお知らせ欄に「【続報】緊急メンテナンス実施に伴う進捗状況のお知らせ」を掲載。これで、メンテナンスが21日19:00から始まっていたと分かった |
| 22日 9:00 | カラーミーショップ | 見出しを「復旧済み」に変え、8:49にすべて完了、店側で対応することは特にないと追記 |
| 22日 9:44までに | MakeShop | 告知を「緊急メンテナンス完了告知」に差し替え、4:42に完了したと書いた。4:11に見たときは完了も延長も書かれていなかった |
| 22日 9:44〜10:17 | MakeShop | 完了告知に「『PHP』に重大な脆弱性が発見されたことを受けた緊急メンテナンス」と理由を書き足した。夜のあいだは「予防的な措置」とだけ書いていた |
| 22日 9:44〜10:17 | ロリポップ | メンテナンス画面の「現在利用できません」の一覧に「お客様のサイト」が加わり、最新情報は公式Xでも知らせると追記した |
| 22日 7:40 | エックスサーバー | 1:10の進捗で「2時間ごとを目安にお知らせ」としていた。次に見えたのは7:40で、3:55時点と6:45時点の進捗が一度に表示された(4:11〜7:03に見たときは、1:10時点の進捗のままだった) |
SNSで流れてきた話も、確かめられる範囲で確かめた。
| 流れてきた話 | 確かめた結果 |
|---|---|
| 「ふるさとチョイスがハッカーにやられた」 | 運営会社の公式発表は、10月17日に確認した不正アクセスについてのもの(20日に情報流出を公表)。PHPやphp2shellへの言及はなく、時期が近いだけの別の件だった |
| 「Yahoo!ショッピングの受注が19時ごろから止まった」 | 出店者向けの障害報告ページに10月21日付の掲載はなかった(22日0時ごろに確認)。投稿者が使っている受注システムの停止と見ると話が合う |
| 「watchTowrが本物と認めた」 | watchTowr自身のページでは確認できず、報道の伝聞だった |
| 「悪用が始まった」 | 攻撃の通信やおとりのサーバーへの攻撃は観測されていたが、会社名と被害がセットの公式発表は、22日朝までの時点で見つからなかった |
futureshopは21日に、自社サーバーへの不正アクセスを公表していた(10:14ごろに確認)。同じ日にPHPの対応で一部機能も止めているが、2つは別々の告知に分かれていて、不正アクセスのほうにPHPへの言及はない。タイミングが重なっているので結びつけて語られやすいが、公式の発表からは関係があるとは言えない。
お名前.comのデスクトップクラウドも同じだ。21日に「第三者による不正アクセスに関するお詫びとお知らせ」(4:00時点)を出していて、20日に一部の利用者のサーバー環境で第三者による不正なプログラムの設置を確認したこと、影響の可能性があるサーバーが26,739件あること、21日4:00から順に全プランのサーバーを止めていることが書かれていた。ただ、この告知にも原因は書かれておらず、PHPやphp2shellへの言及はない。PHPの情報が出回り始めた時期と重なっているが、公式の発表からは関係があるとは言えない。22日に出た第2報では、サーバー内に保存されていた取引口座のログイン情報などが第三者に取得され、不正に使われた可能性があるとして、利用者にパスワードの変更を呼びかけ、22日に警察に相談したと書いている。第2報でも侵入経路は調査中とされ、PHPへの言及はなかった。
お 【重要】[お名前.com デスクトップクラウド]第三者による不正アクセスに関するお詫びとお知らせ(2026年10月21日 4:00時点) onamae.comphp2shellの夜の対応を出店者の立場で評価する|futureshop・ネクストエンジン・楽天RMSとLOGILESS・エックスサーバーの差
ここまでの記録をもとに、出店者として各社の対応をどう見たかを書く。見ているのは、止めた時刻、止まっていた長さ、告知の中身の3つだ。どの会社も夜中に作業していたことは前提として、そのうえで差が出たところをはっきり書いておく。
対応がうまくいかなかった3社
| 会社 | 何が起きたか | 僕の評価 |
|---|---|---|
| futureshop | 「18:30以降、30分〜1時間程度」と案内したメンテナンスが、21:36からの全店舗停止になった。22日7:40の時点でも再開の見込みは示されず、メールの送受信まで止まった | 今回いちばん見通しが外れた。出店者は、30分で戻るつもりで夜を迎え、朝になってもECサイトも管理画面も使えなかった。同じ日に別件の不正アクセスも公表していて、出店者の不安は大きかったはずだ |
| ネクストエンジン | 21日19:00から止まり、22日8:45〜9:12のあいだに戻った。公開のお知らせは、翌朝9:00の「続報」が最初に見つかったもので、理由も受注・出荷への影響も書かれていない | 約14時間止まっていたのに、夜のあいだは公開の説明が見つからなかった。受注の取り込みと出荷指示をこのツールに任せている店は、朝の作業の段取りを決めようがなかった |
| メルカリ | 22:50に「臨時メンテナンスを実施する可能性」を告知し、深夜に見出しだけを「実施見送り」に変えた。本文と更新時刻は22:50のまま | 止めなかったこと自体はよいが、告知の直し方が雑だ。見出しと本文で言っていることが違い、いつ決めたのかも分からない |
早かったところ、遅かったところ
php2shellの2件を直したPHPの修正版(8.5.12・8.4.27・8.3.36・8.2.35)が公開されたのは22:34だ(GitHubでPHPのセキュリティ勧告が公開された時刻)。それより前に止めた会社と、それ以降に止まっているのを確認した会社に分けると、次のようになる。楽天RMS・GoQSystem・SBペイメントサービスは、止めた時刻が告知されていないので、僕が最初に止まっているのを見た時刻で書いている。
| 区分 | 会社と時刻(日本時間) |
|---|---|
| PHPの修正版が出る前に止めた | さくらのレンタルサーバ 13:00ごろ/BASE 15:50(当初22:00予定から前倒し)/エックスサーバー 16:00/futureshop 20:00(全面停止は21:36)/カラーミーショップ・LOGILESS 22:00/mixhost 22:10/ConoHa WING・お名前.com レンタルサーバー・ネクストエンジン 19:00(ネクストエンジンの開始時刻は翌朝の続報で判明) |
| PHPの修正版が出た後に止まっていた | MakeShop 23:00(19:17に予告済み)/楽天RMS 23:17に見たときには停止/GoQSystem・SBペイメントサービス 23:44に見たときには停止/お名前.com 共用サーバーGS 23:00 |
首相や国家サイバー統括室が「今夜」と呼びかけ、海外では攻撃の兆しも報じられていたなかで、BASEやエックスサーバーは夕方のうちに動いた。早く止めれば店側の損失は増えるが、PHPの修正版が出た瞬間に当てられる状態を作っていたのはこちらだ。一方、PHPの修正版が出た後に止まったところは、止めた時刻も理由も分からないものが多かった。
22日10:48の時点で止まっているところ、早く戻ったところ
| 状態 | 会社 | 止まっている(いた)もの | 止まった〜戻った(日本時間) |
|---|---|---|---|
| 止まっている | futureshop | 全店舗のECサイト・管理画面・FTP・API・メール | 21日21:36〜。10時ごろとしていた次の案内は10:30の第三報で出て、再開の見込みは12:30ごろ |
| 止まっている | ロリポップ | 公式サイト・管理画面ほか。10:17の告知では「お客様のサイト」も利用できないものに入った | 21日から止めていて、10:48に見たときも止まっていた |
| 一部だけ止まっている | エックスサーバー | 公式サイト(利用者のサイトとメールは止めていない) | 21日16:00〜。9:30に管理画面と各種機能を再開。公式サイトは22日中に再開する予定と告知 |
| 止まっている | お名前.com デスクトップクラウド | 全プランのサーバー、コントロールパネル(不正アクセスを受けた対応) | 20日21:00ごろから。再開の時期は告知されていない |
| 止まっている(予定どおり) | お名前.com レンタルサーバー | サーバーに一時的に接続できない場合があると告知 | 21日19:00〜22日10:00の予定。10:17に見たときは、告知のページが表示されなくなっていた(このあと22日12:00〜21:00に別の緊急メンテナンスを行い、20:45に終了したと告知) |
| 戻った | BASE | ショップの閲覧・注文、管理画面、API | 21日15:50〜22日8:00(終了予定の7:00から延長。8:09と8:12に見たときは完了の知らせがなく、8:45に完了を告知) |
| 戻った | ネクストエンジン | 全機能 | 21日19:00に止まり、22日8:45〜9:12のあいだに戻った(続報に書かれた終了予定は9:30〜10:00) |
| 戻った | LOGILESS | 受注・倉庫システムの全機能 | 21日22:00に止め、22日0:43〜1:15のあいだに戻った(終了予定の4:00より約3時間早い) |
| 戻った | SBペイメントサービス | 会社のWebサイト・問い合わせフォーム | 21日23:44に見たときには止まっていた。22日10:17〜10:48のあいだに戻った |
| 戻った | GMOペイメントゲートウェイ | 会社のWebサイト | 21日22:40に止め、22日0:23〜0:43のあいだに戻った |
| 戻った | 楽天RMS | 店舗管理画面(ログインできなくなった) | 21日23:17に見たときには止まっていた。22日4:11〜4:41のあいだに戻った |
| 戻った | MakeShop | 管理画面、ショップの閲覧・購入ほか | 21日23:00〜22日4:42(終了予定の4:00を過ぎて4:42に完了したと、朝になって告知) |
| 戻った | カラーミーショップ | ショップの閲覧・購入、管理画面ほか | 21日22:00〜22日8:49(7:20にショップと管理画面を再開) |
| 戻った | GoQSystem | ログイン画面(メンテナンス画面になった) | 21日23:44に見たときには止まっていた。22日7:03〜7:40のあいだに戻った |
いちばん長く止まったのはBASEで、21日15:50から22日8:00まで約16時間だった。早く止めたぶん、止まっている時間も長くなった。次がネクストエンジンの約14時間だ。受注と出荷に直接かかわる管理画面やツールでは、LOGILESSが1時台、楽天RMSとMakeShopが4時台、GoQSystemが7時台、BASE・カラーミーショップ・ネクストエンジンが8〜9時台に戻った。futureshopは10:48の時点でも戻っておらず、再開の見込みは12:30ごろだ。
説明が足りなかったところ、丁寧だったところ
| 評価 | 会社 | 理由 |
|---|---|---|
| 足りなかった | 楽天RMS | 画面は「システムの不具合のため」だけで、楽天市場の障害情報ページは「報告されている障害情報はございません」のままだった。ブランドデーの最終日に、出店者は少なくとも約5時間、受注を処理する画面に入れなかったのに説明がない |
| 足りなかった | ネクストエンジン | 夜のあいだはメンテナンス画面だけで、公開のお知らせは翌朝9:00の「続報」が最初に見つかったものだった。続報にも理由と、受注・出荷への影響は書かれていない |
| 足りなかった | GoQSystem | ログイン画面がメンテナンス画面になっただけで、止めた理由も再開の見込みも書かれていなかった |
| 足りなかった | SBペイメントサービス | 最初は止めた理由を書いておらず、夜中に「PHPの脆弱性に対する未然の予防措置」と書き足した。加盟店がいちばん知りたい決済への影響は書かれていない |
| 足りなかった | MakeShop | 夜のあいだ、止めた理由は「予防的な措置」とだけ書いていた。終了予定の4:00を過ぎても延長の告知を出さなかった |
| 足りなかった | ConoHa WING | 「システムの保守作業」とだけ書き、理由も進捗も出していない |
| 足りなかった | お名前.com | レンタルサーバー(19:00〜)と共用サーバーGS(23:00〜)の2つの緊急メンテナンスを、どちらも「システムの保守作業」とだけ書いた。夜中には告知ページそのものが一時メンテナンス画面になって読めなくなった。デスクトップクラウドでは不正アクセスを公表して全プランを止めたが、原因は書いていない。22日10:55の時点でも、PHPの修正版の適用についての告知はなかった。そのあと22日のうちに出た告知も、パッチの適用を「順次進めております」とだけ書き、終わる時刻はなかった。完了を告知したのは22日20時45分時点で、さくらより14時間15分、エックスサーバーより14時間遅かった |
| 丁寧だった | LOGILESS | 止まる機能、モールとの連携の扱い、メンテナンス中に入った注文は終了後に自動で取り込むこと、APIやハンディ端末への影響まで書いていた。予定より3時間近く早く戻った |
| 丁寧だった | エックスサーバー | 利用者のサイトとメールは止めないと明記し、進捗を1:10・3:55・6:45と出した。修正版のない古いPHPに自社で修正を作ることまで書いていた。ただ、3:55の進捗は僕が見に行った範囲では7:40まで表示されていなかった |
| 丁寧だった | GMOペイメントゲートウェイ | 止めたのは会社のサイトだけで、決済には影響がないとはっきり書いた |
| 丁寧だった | BASE | 止めた理由を、PHPの脆弱性への対応だと最初から書き、止まる機能を並べた。延長するときは見出しごと「延長のお知らせ」に差し替え、完了したときは期間と理由を書き直して、予告した時間を変えたことと長く止めたことを謝罪した |
| 丁寧だった | カラーミーショップ | CVE番号まで書き、配信予約しているメルマガの予約を外すよう案内した。7:20には、どの機能が使えるようになり、どれがまだかを分けて追記した |
futureshopは見通しこそ外れたが、6:00の第二報では現状、止まっている範囲、次の案内の時刻まで書いていた。外れたあとの説明は、告知を出さなかった会社よりずっとましだと僕は思う。
止まっていても、理由と範囲と次の案内の時刻が分かれば、出店者はお客さんへの連絡や出荷の段取りを決められる。告知のないメンテナンス画面だけでは、それができない。
現時点の感想|任せたいと感じた3社、不安が残った3社
ここからは、22日11時ごろの時点での僕の感想だ。料金や機能は比べていない。昨晩、緊急のときにどう動いて、どう知らせたかだけを見ている。
| 感想 | 会社 | そう感じた理由 |
|---|---|---|
| 任せたいと感じた | LOGILESS | 止まる機能、モールとの連携の扱い、メンテナンス中の注文は終了後に自動で取り込むことまで、事前に書いていた。予定の4:00より早く、1:15までに戻った。翌朝の出荷を心配しなくて済む知らせ方だった |
| 任せたいと感じた | エックスサーバー | 利用者のサイトとメールは止めず、止めたのは自社の管理画面などだけだった。進捗を3回出し、6:45にはPHP 8.2〜8.5の全サーバーで修正を終え、修正版のない古いPHPにも自社で修正を作っていた。管理画面などは9:30に再開し、公式サイトは22日中に再開する予定と告知としている |
| 任せたいと感じた | カラーミーショップ | 理由をCVE番号まで書き、配信予約しているメルマガの予約を外すよう具体的に案内した。7:20には、使えるようになった機能とまだの機能を分けて知らせ、8:49にすべて完了した |
| 不安が残った | お名前.com | 利用者のサイトを止めず、PHPの修正版も当たっていない状態で、PHPについての説明は22日になってから出した。その説明にも、パッチを当て終わる時刻は書かれておらず、完了を告知したのは22日20時45分時点だった。うちの会社のサイト(WordPress)では、22日11時ごろもPHPが8.5.6のままで、11時過ぎには、お名前.comの管理画面に、うちが保守を依頼している制作会社も入れなかった(お名前.comはのちに、8:50ごろから17:15ごろまで管理画面が500エラーになる障害だったと告知。詳しくは5番目の見出しに書いた)。エックスサーバーとさくらが朝のうちに修正を終えたと知らせていたのと比べると、14時間以上の差がある。止めないなら早く修正を当てる、当てられないなら止めて知らせる、のどちらもできていないように見える。同じお名前.comのデスクトップクラウドでは不正アクセスも公表されている |
| 不安が残った | futureshop | 「30分〜1時間程度」の案内が、全店舗のECサイト・管理画面・メールが止まる事態になり、10:30の第三報でようやく再開の見込み(12:30ごろ)が出た。全店舗のECサイトが15時間近く止まることになる。同じ日に別件の不正アクセスも公表している。第二報で次の案内の時刻を書いた点はよかった |
| 不安が残った | ネクストエンジン | 約14時間止まっていたのに、夜のあいだは公開の説明が見つからなかった。受注と出荷の指示をまとめて任せるツールなので、止まった理由と影響はもう少し早く知りたかった |
楽天RMSも、少なくとも約5時間、店舗の管理画面に入れなかったのに「システムの不具合のため」とだけ書き、何が起きているのかの説明がなかった。ただ、4時台には戻っていて、出店先として外すのも難しいので、頼り切りにしない準備をしておく相手として見ている。
AmazonとShopifyは、外から見える範囲では一晩じゅう変化がなかった。止まらなかったことが何よりだが、緊急時にどう知らせるかは今回は見られていないので、上の表には入れていない。
カート・受注管理・サーバー会社を選ぶ側として、緊急メンテナンスの告知で見えたこと
僕は仕事柄、外注先や使うサービスを選ぶ側にいる。一晩じゅう各社の告知を見比べて、ふだんの営業資料では分からない違いがはっきり出たと感じた。次に業者を選ぶときに見るところとして、4つ書いておく。
1つ目は、止めた理由を書いているかどうか。BASEやカラーミーショップはPHPの脆弱性への対応だと最初から書いていた。理由が分かれば、利用者は「自分の店にも関係があるか」を判断できる。逆に「保守作業」「不具合」とだけ書かれると、利用者は何が起きているのか分からないまま待つことになる。
2つ目は、時刻と見通しを書いて、ずれたら知らせるかどうか。LOGILESSは予定より早く戻り、MakeShopは予定の4:00を過ぎても告知がないまま止まっていて、4:41までには戻った。futureshopは「30分〜1時間程度」の予定が夜通しの停止になったが、6時に第二報を出して、次の案内の時刻まで書いていた。止まっている時間そのものより、次にいつ情報が出るかが分かるほうが、現場は段取りを組みやすい。
3つ目は、止める範囲を絞っていたかどうか。エックスサーバーやmixhostは、利用者のサイトやメールは止めずに、自社の管理画面などを止めた。GMOペイメントゲートウェイは、止めたのは会社のサイトだけで決済には影響がないと明記していた。どこまで止まっていて、どこは動いているのかが書いてあると、問い合わせをしなくて済む。
4つ目は、告知をどこに出すか。今回は、告知ページそのものがメンテナンス画面に変わって読めなくなる会社がいくつもあった。公式Xやステータスページなど、本体とは別の場所に情報を出していた会社のほうが追いやすかった。
自分の側でやっておくことも書いておく。使っているカート、モール、受注管理、決済代行、サーバーのそれぞれについて、告知ページ、ステータスページ、公式Xの場所を一覧にしておくこと。自社サイトがあるならPHPのバージョンを確かめておくこと。それから、管理画面が朝まで戻らなかったときに、受注の確認と出荷をどうするかを決めておくことだ。昨晩の動きを見ていて、この3つはどれも、起きてから調べ始めたのでは間に合わないと思った。
AIで脆弱性が見つかりやすくなった今、EC事業者が安全に運用するためにやっておくこと
今回の2件は、セキュリティ企業がAIを使った調査の中で見つけてPHPに報告したと報じられている。守る側がAIで脆弱性を見つけられるなら、攻撃する側も同じことができる。しかも今回は、修正版が出る前に情報が出回り、Sansecは「修正版の公開から15分以内に大量の悪用が始まる」と予測していた。脆弱性が見つかってから攻撃が始まるまでの時間は、これからも短くなる一方だと僕は考えている。
そうなると、修正版が出てから慌てて調べ始めるのでは間に合わない。昨晩、早く止めて早く戻ったところと、止まったまま説明もなかったところの差を見て、EC事業者として普段からやっておくことを表にまとめた。
| やっておくこと | 具体的には | 昨晩の動きから分かったこと |
|---|---|---|
| 使っているサービスとシステムを一覧にする | カート、モール、受注管理、倉庫、決済代行、レンタルサーバー、ドメイン、WordPressなどを並べ、どれが自社でPHPを動かしていて、どれが運営会社任せかを書いておく | 自社でPHPを動かしているかどうかで、やることがまったく違った。運営会社任せのサービスは、止まっても店側では何もできない |
| PHPのバージョンを確かめておく | 自社サイトがあるなら、サーバーの管理画面でPHPのバージョンを確認する。8.1以前なら上げる。8.2も2026年12月31日でサポートが終わる | 8.1以前にはPHP公式の正式な修正版が出ず、自分でビルドする人向けの最小限のソースの修正だけが出た。エックスサーバーは自社で修正を作ったが、時間がかかると告知していた |
| 誰が修正を当てるのかを決めておく | サーバー会社が自動で当てるのか、制作会社や保守業者が当てるのか、自分でやるのかを確認する。保守契約に「緊急の脆弱性対応」が入っているかも見ておく | エックスサーバーは利用者のサーバーに順に当てていった。一方、自分で管理しているサーバーは、誰かが夜中に作業しない限りそのままになる |
| 告知の受け取り先を登録しておく | 各サービスのステータスページ、公式X、障害メールの配信を登録しておく。IPAやJPCERT/CC、国家サイバー統括室のXも見られるようにする | 告知ページそのものがメンテナンス画面になって読めなくなる会社がいくつもあった。公式Xやステータスページなど、別の場所に出していた会社のほうが状況を追えた |
| 止まったときの手順を決めておく | 管理画面や受注管理が朝まで戻らないとき、受注の確認、出荷、お客さんへの連絡をどうするかを決めておく。お知らせの文面も用意しておく | MakeShopで店を出している会社や個人は、夜中に自分のお客さんへ閉店の告知を出していた。ネクストエンジンやfutureshopは朝になっても戻らなかった |
| 管理画面のログインを固くしておく | 二段階認証をオンにし、パスワードをほかのサービスと使い回さない | 同じ時期に不正アクセスを公表したfutureshopとお名前.comのデスクトップクラウドは、どちらも利用者にパスワードの変更を呼びかけていた |
| 業者を選ぶときに緊急時の対応も見る | 料金や機能だけでなく、過去の障害のときにどんな告知を出していたかを確かめる | 理由・範囲・次の案内の時刻を書いた会社と、メンテナンス画面だけの会社とで、出店者が朝の段取りを決められるかどうかが分かれた |
どれも、起きてから調べ始めたのでは間に合わないものばかりだ。僕も自分の担当しているサイトとサービスについて、この表を埋めるところから始める。
最後に、この記事の評価は、22日朝の時点で外から見えたことだけをもとにしている。この先、修正を当てきれていなかったサーバーが攻撃を受けることもあり得るし、実は昨晩のうちに侵入されていて、調べ終わってから発表される会社が出てくることも考えられる。不正アクセスの発表は、発生から数日たって出ることが多い。今回「任せたいと感じた」3社も、後から出てくる発表しだいで評価がひっくり返る可能性はある。逆に、昨晩は説明が足りなかった会社が、あとから丁寧な報告を出すこともあるだろう。
なので、この記事は一晩の記録として読んでほしい。新しい発表が出たら、追記していくつもりだ。
FAQ
Q. php2shellとは何ですか?
A. 2026年10月に修正されたPHP本体の脆弱性2件(CVE-2026-109618・CVE-2026-109619)の通称です。深刻度はCVSS v4.0で9.2で、認証なしで外部からサーバー上のコードを実行されるおそれがあります。修正版はPHP 8.5.12・8.4.27・8.3.36・8.2.35で、8.1以前には正式な修正版は出ておらず、7.4・8.0・8.1向けに、自分でビルドする人向けの最小限のソースの修正だけが提供されています。
Q. 自分のネットショップがphp2shellの影響を受けるかは、どう見分ければいいですか?
A. WordPressやWooCommerce、EC-CUBEなどで作ったサイトをレンタルサーバーに置いている場合は、サーバーのPHPが対象になるので、サーバー会社の告知とPHPのバージョンを確認します。BASEやShopifyのように運営会社が提供するサービスでは、店側でPHPを操作することはなく、運営会社の告知を確認することになります。
Q. 楽天RMSが止まったのはphp2shellが原因ですか?
A. 公式には確認できていません。RMSのログイン画面には「システムの不具合のため、メンテナンス」と表示されていて、PHPの名前は出ていませんでした。21日23時17分には停止しており、22日4時11分から4時41分のあいだにログイン画面が元に戻りました。
Q. AmazonやYahoo!ショッピングは止まりましたか?
A. 21日夜から22日朝まで、外から見える範囲では変化がなく、告知も出ていませんでした。ただし、ログインしてから見る出店者向けのお知らせまでは確認していません。
Q. php2shellで実際に被害は出たのですか?
A. 22日朝の時点で、会社名と被害がセットになった公式発表は見つかりませんでした。Cloudflareは攻撃の通信を観測したと公表し、watchTowrは自社のおとりのサーバーで実際の悪用を観測したとしていますが、どちらも特定の会社の被害を示すものではありません。なお、同じ時期にfutureshopとお名前.comのデスクトップクラウドが不正アクセスを公表しています。お名前.comのデスクトップクラウドは22日の第2報で、取引口座のログイン情報などが不正に使われた可能性があるとしましたが、どちらの告知にもPHPやphp2shellへの言及はありません。
Q. PHP 8.1以前を使っているサイトはどうすればいいですか?
A. PHP公式からは8.1以前向けの正式な修正版が出ていないため(7.4・8.0・8.1向けに、自分でビルドする人向けの最小限のソースの修正はあります)、PHPのバージョンを8.2以降に上げるか、サーバー会社やディストリビューションの独自の修正を待つことになります。エックスサーバーは、修正版のない古いPHP向けに自社で修正を作り、22日6:45時点で一部のバージョンから適用を始めたと告知していました。
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