ツバサのメモ帳
生成AIの信頼度がレビューを超えた

EC・実務

生成AIの信頼度がクチコミを超えた?|EC担当者が知るべき購買行動の変化【2026年調査まとめ】

こんにちは、ツバサです。

ECのミカタで「AIきっかけの購買が半数超」という博報堂の調査記事を見ました。正直、最初はピンとこなかった。うちの会社のお客さんはファッションが好きで、自分の目で服を選ぶ人たちだから、AIに「おすすめのジャケットを教えて」なんて聞く人がいるとは思えなかった。

でもPLAN-Bの調査を読んだら、AIきっかけで購入したカテゴリの2位がアパレル(36.0%)だった。ファッション好きの人はAIに選んでもらわないとしても、その周辺にいる「服は好きだけど毎シーズン自分で調べるほどではない」層がAIで探し始めているのかもしれない。気になったので、2026年上半期に出た調査レポートを片っ端から読んで、数字を横断して整理しました。

AIきっかけでモノを買う人は2026年にどこまで増えたか

2026年上半期の調査データを並べると、AIが購買行動に入り込んでいることは数字で明確です。ただし、調査によって母集団が違うので、数字の読み方に注意が必要です。

AI×購買行動の主要調査データ一覧(2026年上半期)
調査主体核心データ母集団
PLAN-B(2026年6月)AIきっかけ購買 54.1%(前年+11.4pt)生成AI利用者
エクスクリエ(2026年5月)買い物でAI活用 約7割、うち61.3%が実購入生成AI利用者
日経クロストレンド(2026年4月)AI提案通りに購入 44.6%生成AI利用者
博報堂(2026年6月)買物でAI利用 24.6%(約4人に1人)20〜69歳全体

PLAN-Bの「54.1%」とエクスクリエの「61.3%」(出典:エクスクリエ)は生成AIを日常的に使っている人の中での割合なので高く出ます。博報堂の「24.6%」は20〜69歳の全体ベースなので低めですが、それでも4人に1人がAIを買い物に使っている計算です(出典:博報堂)。

EC担当者として見逃せないのは、PLAN-B調査でAI経由の購入カテゴリを聞いた結果です。1位がPC・スマホ(40.9%)、2位が衣類・アパレル(36.0%)、3位が食品・飲料(34.9%)。アパレルがこの位置にいるということは、うちの会社の商品も確実にAI経由で探されている、ということです(出典:PLAN-B)。

もう一つ重要なのは、PLAN-Bの同じ調査で87.4%がAIの回答を受け取った後にGoogle検索で追加検証しているという結果です。AIだけで購入を決めているわけではなく、AIで候補を絞ってからGoogleで裏を取るという二段構えが主流。AIとSEOの両方に対応しないと、どちらかの段階で候補から外れます。

買物の決め手は"レビュー"から"生成AI"へ|博報堂買物研究所「AIショッパー調査」 hakuhodo.co.jp AIきっかけの商品購入は半数超に|生成AIとの対話による購買行動調査 2026 plan-b.co.jp 日常生活・買い物における生成AI活用実態調査 excrie.co.jp

AIの信頼度がECサイトのレビューを超えた(博報堂調査)

この記事で最も伝えたいデータがこれです。博報堂買物研究所の「AIショッパー調査」(2026年6月)で、買物においてAIを利用している人が信頼する情報源を聞いた結果、生成AIの回答がECサイトのレビューを上回りました(出典:博報堂)。

買物でAIを利用している人が信頼する情報源(博報堂調査)
情報源信頼すると回答した割合
自分で調べた・体験して得た情報71.0%
企業の公式サイト・アプリ58.7%
価格比較サイト58.1%
生成AIの回答51.7%
ECサイトのレビュー48.6%
一般人のSNS・動画サイトのレビュー41.5%
ブログ・noteなど個人発信の情報38.0%

「レビューを集めればCVRが上がる」はEC施策の鉄板でした。楽天ではレビュー件数が検索順位に影響し、Amazonではレビュー評価がカート獲得率を左右する。その前提は変わっていませんが、AIの回答(51.7%)がECレビュー(48.6%)やSNSレビュー(41.5%)より信頼されているという事実は、EC担当者の施策の優先順位に影響します。

ただし、最も信頼されている情報源は依然として「自分で調べた・体験した情報」(71.0%)で、「企業の公式サイト」(58.7%)も高い位置にあります。AIが万能というわけではなく、消費者はAIで候補を絞り→公式サイトや自分の体験で最終判断、という流れを取っている。つまり「AIに推薦される」ことと「自社サイトの情報品質を上げる」ことの両方が必要です。

消費者の検索行動がAI検索優先に変わり始めている(PRIZMA調査)

PRIZMA(2026年6月)の調査によると、約6割がキーワード検索よりAI検索を優先して使いたいと回答しています。「AI検索を優先」16.0%と「どちらかといえばAI検索を優先」41.6%の合計です。GoogleのAI要約(AI Overview)についても、各年代で高い閲覧率が報告されています(出典:ECのミカタ、調査元:PRIZMA)。

世代による違いも面白いデータが出ています。20〜30代は「有名な企業や公式サイトの名前がAI回答に表示されていれば、その場で信用する」が38%で最多。一方、40〜60代は「信頼できる発信元か確かめるため、引用元のウェブサイトまで見に行く」が30%超で最多。

EC担当者にとっての意味は、若年層向けの商品ならAI検索結果にブランド名がどう表示されるかが購買に直結し、中高年層向けの商品ならAIに引用された上で自社サイトの品質も問われる、ということです。どの世代を狙う場合でも、AIに認識されていないブランドは候補に入れない。

日経クロストレンド等で提唱されている新しい購買行動モデル「AICAS」も、この変化を裏付けています(参考:日経クロストレンド)。従来のAISASモデルは「広告で注目する(Attention)」が起点でしたが、AICASでは「AIに相談する(Ask)」が起点に変わったとされています。Ask→Interest→Confirm/Check→Action→Share。広告を見て気になるのではなく、AIに相談して候補を出してもらうところから買い物が始まる。この変化は、EC担当者が予算をどこに配分すべきかにも関わります。

世代別のAI検索利用の実態|PRIZMA調査 prizma-link.com 新購買行動モデル「AICAS」|日経クロストレンド xtrend.nikkei.com

購買をAIに任せたい消費者はどこまで増えているか

博報堂の同じ調査では、買物のプロセスのうちどこまでAIに任せたいかも聞いています。結果は予想以上に踏み込んだ数字でした(出典:博報堂)。

買物プロセスのどこまでAIに任せたいか(博報堂調査)
プロセス「任せたい」の合計
欲しい商品の情報収集89.4%
どんな商品を買うべきか、あたりを付ける84.9%
複数の購入候補から1つに絞り込む81.8%
最終的に商品を決断する60.0%
購入をやめる判断67.7%

情報収集から絞り込みまでは8割超がAIに任せたいと回答していて、最終決断ですら6割。「購入をやめる判断」を任せたい人が67.7%というのは、AIが「この商品は口コミでサイズ感の不満が多いので別の商品の方がいいかもしれません」と言えば、それで購入が止まる可能性があるということです。

海外の調査でも傾向は一致しています。ECのミカタが報じたCheckout.comの調査(2026年6月)によると、消費者の33%が「1年以内に購買の10%以上がAI主導になる」と予想している一方、現時点でAIエージェント経由の取引は全体の3%程度にとどまるとされています。事業者側の72%が「消費者は事業者の準備が整うより速くAIショッピングを受け入れる」と回答しているとのことです(出典:Checkout.com)。同じくECのミカタが報じたDHLの29カ国調査(2026年6月)でも、消費者の29%が5年以内にAIに購買を任せてもよいと回答しています(出典:DHL Group)。

EC担当者にとっての意味は、AIが購買を「代行」するフェーズはまだ先ですが、「推薦」するフェーズは今ここで起きているということ。AIの推薦リストに入れてもらうための準備は今始めるべきです。

Consumer demand for AI shopping is forming fast|Checkout.com checkout.com DHL eCommerce Trends Report 2026: Old rules do not apply in the age of AI group.dhl.com

ECサイトのAIショッピングエージェント導入と各社の動向

消費者側の変化に対して、EC事業者側ではすでに具体的な動きが始まっています。2026年上半期の主な動きを整理します。

アルペンのAIショッピングエージェント導入。スポーツ用品チェーンのアルペンが、公式ECサイト(Alpen Online)のアディダス商品ページにAIチャット接客を導入しました。Firework Japanの「Retail Connect」を活用し、24時間体制でAIが顧客の質問に回答します。特徴的なのは「メーカー提供の商品情報のみに基づいて回答する」という設計で、真偽不明の情報は参照しません。つまり、AIエージェントの回答品質は商品データ(ささげ情報)の精度で決まります。アルペンによれば、日本のスポーツ用品ECでは初の試みとのことです。

ChatGPTとEC。ChatGPTが商品を推薦した際に既存のECサイトへユーザーを誘導する動きが報じられています。EC事業者にとっては、ChatGPTの推薦候補に入ることが自社サイトへの送客につながる可能性があります。ChatGPTとEC商品データの関係については別記事で整理しています。

GoogleのAI×ショッピング。GoogleはGoogle I/O 2026でAIエージェントがECサイトの商品データを直接参照できる仕組みの構想を発表しています。詳細はGoogle I/O 2026のEC向け発表まとめにまとめています。

AmazonのRufus。AmazonはアプリやWebサイト内にAIショッピングアシスタント「Rufus」を展開しています。Amazon内の商品データに基づいて回答する仕組みとされており、Amazon FBAの手数料構造と合わせて、出品者として動向を注視する必要があります。

一方で、メルカートの調査(2026年6月)ではEC事業経営者の約4人に1人が「AIに期待していない」と回答しています。経営者は自分の業界のプロだから、AIの推薦が的外れな場合があることが分かっている。その感覚は正しいと思います。ただ、自社ブランドが玄人好みのファンに支えられているのでなければ、消費者がAI経由で商品を探す流れを無視して商売を続けるのは危険です。特に新規客の獲得を考えると、ブランドの名前すら知らない消費者がAIに「おすすめは?」と聞くところから接点が始まるので、AIの推薦リストに入っていないブランドはそもそも候補にすら上がりません。

EC担当者がAI時代に最初にやるべきこと

調査データを横断して見えてくるのは、「AIに推薦される」ことが、レビュー獲得と同等以上の売上インパクトを持ち始めているという事実です。ではEC担当者として何から手をつけるか。

最優先はAIが参照する商品データの精度を上げることです。アルペンの事例が示しているように、AIエージェントの回答品質は商品データで決まります。これはアルペンのようなサイト内AIに限らず、ChatGPTやGeminiが外部のECサイトから商品情報を引用する場合も同じです。商品名、スペック、素材、サイズ表、着用感の情報が正確か。商品画像の色味が実物と一致しているか。これはEC担当者にとって新しい仕事ではなく、ささげ業務(撮影・採寸・原稿)の品質管理そのものです。ささげの外注先選びについてはささげ業務の代行会社20選料金相場の記事にまとめてあります。

次にやるべきは、自社サイトの構造化データ(Schema.org)を整備することです。Product構造化データ、FAQ構造化データが正しく実装されているか。AIや検索エンジンが商品情報を理解しやすくなると考えられているため、ここが整っているかどうかで、AIの推薦候補に入りやすくなる可能性があります。

レビュー施策は捨てる必要はありません。博報堂の調査でもECレビューの信頼度は48.6%あり、AIが「この商品はレビュー評価が高い」と判断する材料にもなります。ただ、レビュー獲得だけでは足りなくなった、というのが2026年の状況です。

今日からできることとして一つ提案するなら、ChatGPTやGeminiで自社の商品名やブランド名を検索してみることです。AIがどう回答しているか、どの競合ブランドを推薦しているかを知ることが出発点になります。AIの回答に自社ブランドが出てこないなら、商品データの整備やサイト構造の見直しが急務だということです。

今回整理した10本の調査データが示しているのは、消費者がモノを買う入口にAIが立ち始めているという事実です。レビューを集めることに加えて、AIに正しく推薦されるための商品データの精度を上げること。この2つを並行で進めることが、2026年以降のEC運営の基本になると考えています。

FAQ

Q. AIきっかけで商品を買う人はどのくらいいる?

A. 調査によって幅がありますが、生成AI利用者に限れば44〜61%が実際にAI経由で商品を購入しています(日経クロストレンド・エクスクリエ調査)。全体ベースでは24.6%で約4人に1人です(博報堂買物研究所、2026年6月)。アパレルカテゴリはAI経由購入の2位(36.0%)で、PC・スマホに次いで高い割合です(PLAN-B調査)。

Q. 生成AIの回答はECサイトのレビューより信頼されている?

A. 博報堂買物研究所の調査(2026年6月)によると、買物で生成AIを利用している人が信頼する情報源は「生成AIの回答」が51.7%で、「ECサイトのレビュー」48.6%、「SNSレビュー」41.5%を上回りました。ただし最も信頼されているのは「自分で調べた・体験した情報」で71.0%です。

Q. AICASとは?AISASとの違いは?

A. AICASは日経クロストレンドとマクロミルが2026年4月に発表した新しい購買行動モデルで、Ask(AIに相談)→Interest(興味)→Confirm/Check(確認)→Action(購入)→Share(共有)の頭文字です。従来のAISASモデルとの最大の違いは、起点が「広告で注目する(Attention)」から「AIに相談する(Ask)」に変わった点です。

Q. EC担当者がAI対応で最初にやるべきことは?

A. AIが参照する商品データ(ささげ情報)の精度を上げることが最優先です。商品名、スペック、素材、サイズ表、着用感の情報が正確で構造化されていることが、AIに正しく推薦される第一条件になります。日常的にChatGPTやGeminiで自社商品名を検索し、AIがどう回答しているか確認する習慣も有効です。

Q. AIショッピングエージェントとは?

A. ECサイト上でAIがチャット形式で接客し、顧客の質問に商品情報をもとに回答するサービスです。アルペンが2026年6月にアディダス商品ページで国内スポーツ用品ECとして初めて導入しました。メーカー提供の商品データのみに基づいて回答するため、商品データ(ささげ情報)の精度がAI接客の品質を直接左右します。

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EC関連の会社で働いています。少人数の職場なので、ささげ業務の手配から画像の外注管理、ページ更新、バイトさんへの作業指示まで守備範囲は広めです。Photoshopは苦手なので本格的な画像加工は外注に出していますが、何社も試した分、業者選びや納品チェックには慣れました。このブログは仕事の中で身につけたことの記録です。