LLMO代行会社は本当に必要か? 国内20社の料金・実績・比較記事の実態を調査
こんにちは、ツバサです。
LLMO代行会社の費用相場は月額10万〜50万円で、従来のSEOコンサルとほぼ同じ水準である。国内で20社弱がサービスを提供しているが、比較記事の10本中9本は代行会社自身のメディアが運営しており、各社が記事内で自社を最上部に掲載していた。GEO論文(KDD 2024)が有効と報告した施策は「専門家の引用追加」「統計データの追加」「信頼できる出典の明記」であり、いずれも外注しなくても自社で実行できる。
※本記事は2026年7月時点の公開情報をもとに調査しています。料金・サービス内容・AI検索の仕様は変更される可能性があります。
目次
この記事を書いた経緯
「LLMO代行」という名前のサービスが2025年後半以降、急速に増えている。LLMO(Large Language Model Optimization)。ChatGPTやGemini、PerplexityといったAIに、自社サイトの情報を引用・推薦させるための対策を代行するサービスである。2026年7月時点で、公式サイト上でサービス提供を確認できた企業は20社弱。公開料金では月額10万〜50万円程度が中心だった。
自分はEC担当で、ささげ周りの手配から商品ページの更新まで守備範囲が広い。最近はChatGPTやGemini、Perplexityに自社の商品名やブランド名を入れてみて、どう認識されているかを観察するのが習慣になっている。正しく紹介されていることもあれば、競合の名前ばかり出てきて自社が一切出ないこともある。その差がどこから来るのかはずっと気になっていた。
LLMO自体はブログをやっていれば嫌でも耳に入る言葉である。SNSでは「LLMOはSEOと同じだから、LLMOだけ切り出してやるのは意味がない」という専門家と、それに反論する専門家が議論を繰り返している。自分はどちらかというと反論寄りの立場にいる。理由は二つある。
一つは、ニッチなテーマの個人ブログでAIに引用される経験が何度かあって、検索上位でなくても引用されるケースを見てきたこと。SEOと完全に同じだとは思えない。
もう一つは、うちの会社の事情である。超有名アパレルブランドではない。検索で正面からぶつかれば、知名度とドメインパワーで大手に負け続ける。SEOで10位以内に入れないキーワードでも、AIが「この商品もありますよ」と紹介してくれるなら、それは弱者にとって数少ないチャンスになる。LLMOに関心があるのは、正攻法では届かない場所に届く可能性があるからである。
ただ、自分の感覚だけで判断するのは危うい。LLMO代行を名乗る会社が国内で20社弱にまで増えている今、各社がこの論争にどういうスタンスを取っていて、実際に何を売っているのかを調べてみたくなった。
調べてみたら、比較記事の大半がLLMO代行会社自身のメディアだった。コンテンツマーケティングとしては当たり前の手法だが、それを踏まえた上で読んでいるかどうかで情報の受け取り方が変わる。EC担当として会議で提案するにしても見送るにしても、まず売り手側ではない視点で整理しておく価値があると判断した。
LLMO・GEO・AIO・AI SEOの違いと用語の整理
最初に戸惑ったのが、同じようなサービスなのに呼び方がバラバラだったことである。各社のサービスページを見ると、以下の名称が混在している。
- LLMO(Large Language Model Optimization)
- GEO(Generative Engine Optimization)
- AIO(AI Optimization / AI Overview対策)
- AI検索最適化
- AI SEO
結論から言えば、多くの会社ではこれらをほぼ同義で使っている。ただし厳密な定義は統一されておらず、Google AI Overviewsだけを対象にする会社もあれば、ChatGPTやPerplexityまで含める会社もある。共通しているのは、AIが生成する回答の中に自社サイトの情報を引用・推薦させるための施策だという点である。
従来のSEOが「検索結果で上位表示され、クリックを獲得すること」を目的としているのに対して、LLMOは「AIの回答に引用され、ユーザーがサイトを訪問しなくてもブランド名や商品名が認知されること」を含む。SparkToroとSimilarwebが2026年初頭に公表した米国調査では、Google検索の68%がクリックなしで終了している。クリックされなくても認知が残るという点は、AI検索時代に注目されている特徴である。
学術的な起点はプリンストン大学などの研究チームが発表した論文「GEO: Generative Engine Optimization」にある。2023年11月にarXivへ投稿され、2024年8月にデータマイニング分野の国際カンファレンス「KDD 2024」で正式に採択・発表された。この論文が「GEO」という概念を定義し、コンテンツの書き方を変えるだけでAI回答内での露出が実験では最大40%改善したケースを報告している(詳細はGEO論文のセクションで扱う)。
a GEO: Generative Engine Optimization(arXiv) arxiv.org一方、Google検索セントラルは「AI機能での表示方法」というページで、「AIによる概要表示のために、これまでのSEOとは異なる特別な最適化を施す必要はない」と公式に述べている。良質なコンテンツを作り、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を満たし、構造化データを適切に実装すること。それが従来のSEOにも、AI検索にも効くというのがGoogleの立場である。
G Google検索セントラル|AI機能での表示方法 developers.google.comこの「学術論文は効果を実証している」と「Google公式は特別な対策は不要と言っている」の間にある溝が、LLMO代行会社というビジネスが成り立つ土壌になっている。
国内LLMO代行会社20社の参入パターンと料金相場
2026年7月時点で、国内でLLMO・GEO・AIO関連のサービス提供を確認できた会社は20社弱にのぼる。参入のパターンは大きく4つに分かれる。
SEO会社がメニューを追加したパターン(最多)。株式会社LANY、株式会社ジオコード、ナイル株式会社、株式会社PLAN-Bなど。長年のSEOコンサルティングの延長として、2025年後半から2026年にかけてLLMOメニューを追加した。既存のクライアント基盤にアップセルできる構造で、参入障壁が低い。
LLMO・AI検索に特化して立ち上げたパターン。TechSuite株式会社(AI検索パートナーズ)、株式会社Wallabee(Optyino.ai)など。AI検索の分析ツールや独自の測定指標を武器にしている。SEO会社との差別化を意識したポジショニングが目立つ。
大手広告代理店・デジタルマーケティンググループの参入。GMO NIKKO株式会社(GMO AI最適化ブースト)、株式会社電通デジタル(GEOコンサルティング)、株式会社オプト(LANYとの共創)。2025年後半を中心に相次いでサービスをリリースしている。
個人事業主・小規模法人の参入。ピースカンパニー(佐賀県)のように、中小企業・士業向けに月額1万〜3万円のローカルLLMOパッケージを提供する事業者も出てきている。
料金の実態
料金体系は大きく4つのモデルに分かれる(いずれも各社の公開料金に基づく。個別見積もりで非公開の会社も多い)。
| プラン | 料金レンジ(税抜) | 内容 |
|---|---|---|
| スポット診断型 | 初期10万〜30万円 | AI検索での言及状況レポート、競合比較、改善ロードマップ |
| 月額伴走型(コンサル) | 月額10万〜50万円 | 定期モニタリング、コンテンツのリライト指示、構成案提供 |
| 包括支援型(一括運用) | 月額50万〜100万円超 | 戦略設計+技術実装+コンテンツ制作代行 |
| SaaSツール課金型 | 月額49,800円〜99,800円 | ミエルカGEOのような自社追跡ツールの利用料 |
通常のSEOコンサルティングの費用相場が月額10万〜50万円であることを考えると、LLMO代行の料金帯はSEOコンサルとほぼ同じ水準である。ここで当然出てくる疑問は、SEOコンサルとLLMO代行を別々に契約するのかという点である。
実態としては、LLMO代行会社の大半はSEO会社がメニューを追加したパターンなので、既存のSEO契約にLLMOを追加オプションとして提案されるケースが多い。仮にそれぞれ月額10万円なら合計で月額20万円になる。
ここに一つ引っかかる点がある。後述する辻正浩氏(Faber Company)をはじめ、SEO業界の一部の専門家は「LLMOはSEOの延長線上にある」「SEOをしっかりやればAI検索にも対応できる」と主張している。にもかかわらず、Faber Company自身はSEOツール「ミエルカSEO」とは別に「ミエルカGEO」を別料金でリリースしている。SEOの延長線上にあるなら、なぜ別ツール・別料金にするのか。既存のSEO契約やツールの中でカバーできるはずではないか。
一方で、LANYのようにLLMO専門の研究開発組織「LANY LLMO Lab」を設立し、LLMOをSEOとは別の領域として本格的に取り組んでいる会社もある。こちらはLLMOコンサルが別メニューであることに矛盾はない。
問題は「SEOの延長だ」と言いながら別メニューで売るケースである。延長線上にあるなら追加契約は不要だし、別領域なら追加に意味がある。どちらの立場を取るかで結論が変わるが、延長だと言いながら別料金を取るのは顧客から見ると分かりにくい構造になっている。SEOコンサルを入れている会社なら、まず「うちの契約範囲でAI検索対策もカバーできないのか」と聞くのが先だろう。
少人数のEC部署にとって月額10万円でも簡単には通せない金額である。年間120万円。それだけの予算があれば商品撮影を何回分発注できるかを考えると、LLMO代行に回す優先度がどこにあるのかは慎重に見積もる必要がある。
LLMO代行も外注の一種である以上、法人取引としての基本的な確認は必要になる。設立年、資本金、法人形態、取引先の公開状況。レタッチ外注先を選ぶときと同じチェック項目がそのまま当てはまる(→「大手企業は料金だけで外注先を選ばない! レタッチ会社の経営基盤もチェックされる」)。
LLMO代行会社の比較記事は誰が書いているのか:10本中9本の運営元を調査
「LLMO 比較」「LLMO対策会社 おすすめ」で検索すると、比較記事が大量に出てくる。読んでいて気づいたのが、これらの記事の運営元の多くがLLMO代行サービスを提供している会社自身だという点である。自社メディアで自社サービスの比較記事を書くのはコンテンツマーケティングの基本であり、どの業界でもやっていることだが、読者としてはその前提を知った上で読んだほうがいい。
「LLMO 比較」「LLMO対策会社 おすすめ」などのクエリで上位表示された比較記事10本を対象に、運営元を確認した(2026年7月調査)。結果、9本は運営会社自身がLLMOサービスを提供しており、調査時点ではいずれも記事内で自社を最上部に掲載していた。
| 比較記事の運営元 | 自社LLMO提供 | 記事内の自社掲載位置 | 自社への問い合わせ導線 |
|---|---|---|---|
| Faber Company(ミエルカ) | あり(ミエルカGEO) | 最上部 | あり(無料相談への誘導) |
| PLAN-B | あり | 最上部 | あり(問い合わせフォーム併設) |
| メディアリーチ | あり(LLMOコンサル) | 最上部 | あり(ホワイトペーパーDL促進) |
| Queue(umoren.ai) | あり | 最上部 | あり(自社サービスページへのリンク) |
| デジタルアイデンティティ | あり(LLMO診断) | 最上部 | あり(診断サービスへの誘導) |
| メディアエクシード | あり | 最上部 | あり(相談窓口へのリンクを複数配置) |
| アドカル | あり | 最上部 | あり(問い合わせ誘導) |
| パスカル(オロ社) | あり(SEO/GEOツール) | 推奨ツール枠 | あり(自社ツール紹介) |
| バクリ | あり(AIO/LLMOコンサル) | 最上部 | あり(問い合わせ誘導) |
| O! Product AI(ガイガンティック社) | なし(BtoBサービス比較DB) | 掲載なし | なし |
10本中9本が、自社サービスへの集客を兼ねた構造になっている。今回調査した中では、ガイガンティック社(O! Product AI)の記事だけが特定のLLMO代行会社を優先的に紹介する構成ではなかった。比較記事として読む分には問題ないが、「中立的な第三者がおすすめを選んでくれている」という前提で読むと判断を誤る可能性がある。
自社が提供しているサービスの比較記事を自社メディアで書き、記事内で自社を一番上に掲載する。コンテンツマーケティングとしてはごく普通の手法だが、この構造を知らずに「一番上に載っているからここが一番いい」と判断してしまう読者もいるだろう。掲載順序を決めているのは記事を書いた会社自身であって、第三者が評価した結果のランキングではない。
AIに「おすすめのLLMO代行会社」を聞いてみた
試しにChatGPTとClaudeに同じ質問をしてみた(2026年7月実施。ChatGPT・Claude・Gemini・Perplexityはいずれも継続的にモデル更新が行われているため、同じ質問でも時期によって異なる結果が返る)。
ChatGPTが推薦した5社は、TechSuite、メディアリーチ、Queue(umoren.ai)、アドマノ、イーストクリエイティブ。Claudeが推薦した7社は、メディアリーチ、デジタルアイデンティティ、東京SEOメーカー(アドマノ)、GIG、ナイル、umoren.ai、メディアエクシード。
推薦する会社がかなり異なる。両方に入っているのはメディアリーチ、アドマノ、umoren.aiの3社程度で、残りはAIごとにバラバラである。
ここから見えてくるのは二つある。
まず、AIごとに評価基準や参照する情報源が異なるということ。ChatGPTに推薦されてもClaudeには推薦されないし、その逆もある。どのAIの推薦を狙うかでやるべきことが違うなら、「LLMO対策」という一括りのサービスでどこまでカバーできるのかは確認が必要になる。
次に、AIの回答では各社の公開情報やプレスリリースが引用元になっているケースが多かった。AIはサービスの実力を独自に評価しているわけではなく、公開されている情報を拾って構成している。情報発信が活発な会社ほどAIの回答に登場しやすい傾向が見えた。
GEO論文(KDD 2024)が実証したAI検索に「効く施策」と「効かない施策」
LLMO代行会社のサービス内容を評価するには、何が実際に効くのかを学術的に把握しておく必要がある。先述のGEO論文(KDD 2024)は、9つの最適化手法を実験で検証し、効果の差を定量的に示した。なお、この論文は生成AIの挙動を実験環境で検証した研究であり、現在のChatGPTやGoogle AI Overviewsといった商用AIサービスを直接対象にしたものではない。その点を踏まえた上で読む必要がある。
効果が高かった施策
専門家の引用を追加する(Quotation Addition)。記事内にその分野の専門家や信頼できる人物の具体的な発言を「」付きで挿入する手法。実験の中で最も高い改善効果の一つだった。明確な出典を持つ情報はAIが引用しやすい構造になると考えられる。
統計データを追加する(Statistics Addition)。「効果が高い」という抽象的な記述を、例えば「投資1ドルあたり平均36ドルのROIを創出する」のような具体的な数値に置き換える手法。これもAIの引用確率を顕著に高めた。
信頼できるソースを明記する(Cite Sources)。コンテンツ内に、一次研究資料や信頼性の高い機関のレポートを参照情報として明記する手法。
効果が限定的だった施策
キーワードスタッフィング。従来のSEOで使われてきた「関連キーワードを不自然に多数配置する」手法は、AI検索に対しては効果が限定的だった。自然な文脈や流暢さを損なうことが原因と考えられる。
少なくともこの論文の実験では、AI検索で引用されやすいのは「テクニック」ではなく「情報の質」を高める施策だった。専門家の発言、具体的な統計、信頼できる出典。これらは「LLMO専用の施策」ではなく、良い記事を書くための基本的な条件にすぎない。
辻正浩氏「LLMO対策は急がなくていい」の根拠と限界
日本のSEO業界を代表するコンサルタントの一人、Faber Company上席コンサルタントの辻正浩氏は、LLMO対策の過熱に対して「急ぐ必要がない」とする見解を発表している。その根拠は主に4つある。
トラフィック影響が限定的。辻氏によれば、2025年3〜4月にAI Overviewsが日本で全面展開された際、同氏がアクセス分析を統括する「はてなブログ」(100万以上のブログを含む巨大ドメイン)ではトラフィック減少が確認されなかった。辻氏が分析対象としている月間6億〜7億クリック規模のウェブサイト群でも同様だという。
先行投資の価値が低い。LLMのアルゴリズムは高頻度で変化するため、現時点の仕様に合わせた施策は次のアップデートで無効化される可能性が高い。
SEOとの技術的な重複。AI検索への適合要件を紐解くと、従来の高品質なSEO(表示速度改善、モバイル対応、構造化データ、E-E-A-T)と本質的に同じである。
AI検索の利用はまだ限定的。NTTドコモ モバイル社会研究所の2025年2月調査では、日本の消費者の53%が生成AIの存在を詳しく知らない、または名前すら聞いたことがないと回答している。
加えて、Google AI Overviewsのソースとして引用されるサイトの99.5%は、通常のオーガニック検索結果で既にトップ10に入っているサイトだという調査データがある(seoClarityの検証)。つまり、SEOで上位を維持できていれば、追加対策なしでもAIに引用される確率が極めて高い。
この見解は2026年現在も維持されている。辻氏は2026年6月11日更新のミエルカGEOコラムで「GEOへの取り組みを急ぐ必要はありません。なぜなら2026年6月現在において、GEOは従来の広義な意味でのSEO施策と大きく変わらないからです」と明記している。2026年4月のWeb担当者Forumの対談記事でも、「AI検索に対する効果的な施策は、すべてSEOでもやるべきこと」と断言し、有効な個別施策として「適切に作成されたFAQ」を挙げている。FAQはAIの「query fan-out(クエリの分岐・拡張)」に直接マッチしやすく、コスト対効果が見込める数少ない具体的施策だという。
辻氏は、自身が直接アドバイス・観測しているWebサイト群の検索流入規模が日本で行われる検索の1割弱(月間約5億回)に達するとしており、その規模のデータに基づいて「現時点ではCTRや検索流入数に影響が出ていないWebサイトも多い」「AI検索へ移行する人はまだ少数派」と判断している。
ただし、ここで一つ指摘しておくべき事実がある。辻氏が所属するFaber Companyは、2026年1月にAI検索の露出を追跡するツール「ミエルカGEO」をリリースしている。「急がなくていい」と言いつつ、自社でGEOツールを売っている構造である。辻氏はこの整合性について、2026年4月のWeb担当者Forum対談で次のように説明している。「やらなくても事業が成立するならやらなくていい」とした上で、ツールの価値は「AI検索を無理にハックするための道具」ではなく「自社の見え方や競合との露出差分を可視化して、意思決定の精度を上げるためのモニタリング」にある、と。対策ツールではなくモニタリングツールという位置づけで、見解との矛盾はないという論理である。
この見解はどこまで一般化できるか
辻氏のデータは説得力がある。ただし、前提条件を見る必要がある。
辻氏が検証しているのは「はてなブログ」(100万超のブログを含む超巨大ドメイン)や、月間6億〜7億クリック規模のウェブサイト群である。これらはすでにSEOで圧倒的な地位を築いているサイト群であり、AI Overviewsに引用されなくても困らないレベルのトラフィック基盤を持っている。
しかし、検索ボリュームが月間数百〜数千程度のニッチ業界では事情が異なる。自分がブログでレタッチや退職代行やデータ復旧といったテーマを扱ってきた経験から言えば、検索ボリュームが小さい領域ほど、AIの1回の引用がアクセスや問い合わせに与えるインパクトの比率が大きくなる。
EC担当として見逃せないデータもある。一部の企業分析では、AIを介した検索経由のインタラクションは、従来の検索からの流入に比べてコンバージョン率が4倍〜20倍超という報告がある。理由は検索行動の変化にある。たとえばアパレルの場合、従来は「春服」「ブレザー メンズ」のようなキーワード検索が中心だったが、AIには「湿気の多い気候向けの軽量ブレザー」「狭い足に合うロープロファイルのスニーカー」のように、具体的な条件を自然言語で聞く。この種の質問は購買意図が高く、AIが回答の中で自社商品を推薦すれば、そこから来たユーザーは「もう何を買うか半分決めている」状態である。大手ブランドが指名検索で圧倒している市場でも、この自然言語の隙間にはまだ空きがある。SEOで10位以内に入れなくても、AIが具体的な条件に合う商品として推薦してくれるなら、弱者にとっての新しい入口になる。
また、Gartnerが2024年2月に「2026年までに従来型検索ボリュームが25%減少する」と予測したデータの検証も必要である。2026年の実測データを見ると、米国ではGoogleのデスクトップ検索がユーザーあたり前年比約20%減少している(SparkToro/Datos調査、2026年1月)。Google検索の68%がクリックなしで終了し(SparkToro/Similarweb調査、2026年1〜4月)、Googleがウェブサイトに送るトラフィックシェアは前年比約22%減少した(同調査、2025年6月〜2026年5月)。一方で欧州の減少幅は2〜3%にとどまっており、地域差が大きい。
日本の実測データは公表されていない。米国と同じ動きをしているかどうかは現時点では判断できないが、少なくとも「全く影響がない」と断定できる根拠もない。「急がなくていい」が成り立つ条件と、成り立たない条件を分けて考えるべきである。
成り立ちやすい条件:すでにSEOで検索上位を維持している大規模サイト、情報収集系クエリが中心の業種、BtoC大衆向け商材。
成り立ちにくい条件:検索ボリュームが小さいニッチ業界、比較検討を伴う高関与商材(士業・不動産・医療・ITなど)、BtoBで問い合わせ1件の価値が高い業種。
LLMO代行のブラックハット手法とRedditスパムの実態
GEO論文がキーワードスタッフィングの効果は限定的だと示しているにもかかわらず、この業界にはSEO時代と同じような小手先の手法を持ち込んでいる動きがある。
報道やコミュニティでの検証から、具体的な事例が見えてきている。
Redditでのサクラ投稿(Astroturfing)。2026年6月、404 Mediaは、Redditの「r/Biohackers」等のサブレディットで企業や代理店による組織的なAstroturfing事例を報じた。AIがReddit上の投稿を回答生成に利用するケースが確認されており、偽の口コミでWeb上に「偽の合意(Fake consensus)」を形成し、自社ブランドをAIに推薦させようとする手口が問題になっている。
架空ブランドによるAI回答の検証。Redditの「r/selfhosted」で、一部ユーザーが「PlasTrolTech」「Booster 3.0」といった実在しない製品名のサクラ投稿をボットで大量に行ったところ、GoogleのAI Summary(Gemini)がこれを回答内に取り込み、推奨策として出力する挙動が確認された。ユーザーによる検証の範囲ではあるが、AI回答がコミュニティ投稿の操作に対して脆弱である可能性を示す事例である。
AIクローキングの可能性。2026年2月、Cloudflareが公開した「Markdown for Agents」機能により、AIクローラー向けの応答を切り替える仕組みが提供された。この仕組みを悪用すれば、人間には通常の情報を見せつつ、AIクローラーにだけ自社に有利な改ざんデータを読み込ませる「AIクローキング」が技術的に可能になるとセキュリティ専門家から指摘されている。従来のSEOでペナルティ対象だったクローキングが、AI検索領域で再び議論の対象になっている。
「短期間で成果が出る」という広告への疑問。「最短数日で効果」「数週間で引用獲得」と即効性を訴求する業者がいるが、Search Engine Landの2026年5月の分析では、AIに引用されているRedditスレッドの平均経過日数は約900日(約2年半)であり、そのうち約80%は20アップボート未満の静かなスレッドだった。この分析に基づけば、短期的にバイラルを起こしてAIに拾わせるという手法は引用されにくい傾向がある。一時的なバズではなく、長期間にわたって存在し続ける情報がAIに評価されやすい構造が見えてくる。
プラットフォーム側も対応を進めている。Redditは2025年下半期の透明性レポートで、スパム対策として310万件以上のアカウントを一時的・永久的にBANしたと公表している(前年同期比約21%増)。欧米の主要ニュースパブリッシャー100社を対象にした調査では、67%がPerplexityのクローラーをrobots.txtでブロックしている。
海外のGEO代理店(Go Fish Digitalなど)は、RedditやGitHub、Wikipedia/Wikidataなどの第三者プラットフォーム上でのブランド言及を意図的に構築する戦略を「サイテーションシグナルの構築」として公開している。これ自体は正当なデジタルPRとの境界が曖昧だが、LLMの仕組みを「攻略」しようとする姿勢は、かつてのSEOにおけるブラックハットの発想と構造的に似ている。Googleのコアアップデートが低品質なSEO手法を無効化してきた歴史を考えれば、AIプラットフォーム側も同様の対応を取るだろう。
GEO論文の実験で効果が確認された施策(専門家の引用、統計データ、信頼できるソースの明記)は、どれも「今日やって明日効く」類のものではない。そして、それこそがハック耐性の高い施策だということでもある。
LLMO代行なしでできるAI検索対策の具体的な施策
ここまで調べた結果、LLMO代行に月額10万〜50万円を払わなくても、自分でできる施策が少なくないことがわかった。GEO論文が有効性を実証した施策は、どれも外注しなければ実行できないものではない。
構造化データ(JSON-LD)の実装。Schema.orgのArticle、FAQPage、HowTo、Organizationスキーマを自社サイトに実装する。Google検索セントラルのドキュメントに実装方法が詳しく載っている。
llms.txtの設置。サイトの概要をAI向けにまとめたテキストファイルをルートに配置する。llms.txtはAI向け情報提供のための提案仕様であり、Google・OpenAI・Anthropicが正式採用した標準ではない。ただし、一部のAIサービスが対応を始めており、設置のコストは低い。
記事内に統計データと出典を明記する。「効果があります」ではなく「○○社の調査によると△△%」と書く。出典リンクを付ける。
専門家の見解を引用する。業界の専門家が公開している発言を、出典付きで記事に組み込む。
FAQをページ内に構造化して配置する。AIが質問と回答のペアを利用しやすくなる可能性がある。辻氏もAI検索対策として数少ない有効施策にFAQを挙げている。
商品詳細ページに自然言語のQ&Aを追加する。ECサイトの場合、商品のスペック表だけではAIが引用しにくい。「どんな体型に合うか」「どんな場面で使えるか」「洗濯はどうするか」といった、顧客が実際にAIに聞きそうな質問とその回答を商品ページ内に自然な言葉で書き加える。AIは「湿気の多い気候向けの軽量ブレザー」のような具体的な条件で聞かれたときに、その条件に合致する記述を情報源として利用する可能性がある。キーワードではなく文脈で引っかかる書き方が必要になる。
簡潔な結論を冒頭に置く。AIが要約を生成する際に引用しやすくなる可能性がある。2〜4文の結論ブロックをページの上部に配置する。
これらの多くは、Googleのガイドラインや GEO論文の研究結果と方向性が一致しており、LLMO代行会社が「サービス内容」として掲げている施策とも重なる。代行会社に頼む価値があるとすれば、これらの施策を「自分でやる時間がない」場合か、「どこから手をつけるべきかの優先順位がわからない」場合だろう。
LLMO代行なしでAIに引用されるか:この記事自体が実験である
最後に、このブログの話をする。
ツバサのメモ帳はささげ代行やフォトレタッチといったニッチなテーマでAIに引用されることがそれなりにある。LLMO代行に依頼したことは一度もない。個人ブログに頼むわけがない。構造化データを入れて、一次情報を丁寧に書いて、出典を明記する。やっていることはそれだけである。
じゃあ「LLMO」というテーマそのもので記事を書いたらどうなるか。このテーマは、LLMO代行を提供している大手SEO会社やLLMO専業会社がオウンドメディアで比較記事を大量に出している分野である。ドメインパワーも予算も持っている会社のメディアに対して、個人ブログが同じ土俵で勝負してAIに引用されるのか。
この記事がChatGPTやGeminiやPerplexityの回答に引用されたら、「LLMO代行なしでもやれる」の一つの実例になる。引用されなかったら、それもまた事実として残る。どちらにせよ、結果は時間が経てばわかる。
ただ、この記事にはGEO論文で効果が報告された要素の多くを取り入れている。学術論文(KDD 2024)への言及、辻正浩氏の見解の引用、SparkToroやGartnerの統計データ、料金の具体的な数値、AI推薦結果の比較実験という独自データ。LLMO代行会社のオウンドメディアが書く比較記事にはない、LLMO代行サービスを提供していない立場からの調査という点もある。
しばらく時間をおいて結果を報告したいと思う。
FAQ
Q. LLMOとGEOの違いは何か
A. 名称は異なるが、指している領域はほぼ同じである。GEO(Generative Engine Optimization)は学術論文で定義された用語で、LLMO(Large Language Model Optimization)はマーケティング業界で使われることが多い。AIO(AI Optimization)はGoogle AI Overviewsに重点を置いた呼び方。各社がどの名称を使っているかはブランディングの違いにすぎず、多くの会社では近い意味で使われている。
Q. LLMO代行会社の費用相場はどのくらいか
A. スポット診断で10万〜30万円、月額コンサル型で10万〜50万円、コンテンツ制作まで含む包括型で月額50万〜100万円超。SaaSツール型で月額約5万〜10万円。通常のSEOコンサルティングの相場(月額10万〜50万円)とほぼ同じ水準になっている。
Q. LLMO対策の効果はどう測定するのか
A. 各社が独自の測定方法を採用しており、統一された指標は存在しない。主な指標は、AIの回答内での自社ブランド名の出現率(Brand Share Score)、AI Overviews内での引用回数、AIドメインからのリファラートラフィック。ただし、AIの回答は確率的に生成されるため、同じ質問でも異なる回答が出ることがある。「引用率○○%向上」という実績値は、測定タイミングやプロンプトの設計で結果が変わり得る点に注意が必要である。
Q. 小規模ECサイトにLLMO対策は必要か
A. まずGoogle Search Consoleで自社サイトの検索パフォーマンスを確認するのが先決である。主要キーワードでSERP上位10位以内に入っているなら、AI Overviewsに引用される確率はすでに高い(seoClarityの調査では引用元の99.5%がトップ10サイト)。上位に入っていない場合は、LLMO以前にSEOの基盤整備が優先される。構造化データの実装、llms.txtの設置、記事内の統計データと出典の充実は、外注せずに自分で実行できる。
Q. LLMO代行会社を選ぶときの確認ポイントは何か
A. 最低限確認すべきは、その会社がChatGPTだけでなくGemini、Perplexity、Google AI Overviewsなど複数のAIでの効果を検証しているか。AI間で推薦結果が異なることを考えると、単一のAIでの効果だけを主張する会社は対応範囲が狭い可能性がある。また、実績として公開している事例がプレスリリースだけでなく、具体的なbefore/afterデータを伴っているか、その測定条件まで公開しているかも判断材料になる。法人取引として依頼する場合は、サービス内容だけでなく会社の経営基盤(設立年・資本金・法人形態・取引先の公開状況)も確認すべきである(→「大手企業は料金だけで外注先を選ばない! レタッチ会社の経営基盤もチェックされる」)。
付録:国内LLMO・GEO・AIO代行会社一覧(2026年7月調査)
公式サイト上でLLMO・GEO・AIO関連のサービス提供を確認できた会社の一覧。料金は公開情報に基づく。
| 会社名 | サービス名 | 料金(公開情報) | 参入時期 |
|---|---|---|---|
| 株式会社Faber Company | ミエルカGEO | 月額49,800円〜(ツール) | 2026年 |
| 株式会社LANY | LLMOコンサルティング | 個別見積もり | 2025年8月 |
| TechSuite株式会社 | AI検索パートナーズ | 個別見積もり | 2026年3月 |
| GMO NIKKO株式会社 | GMO AI最適化ブースト | 月額100,000円〜 | 2025年8月 |
| 株式会社Wallabee | Optyino.ai | 個別相談 | 2026年 |
| ピースカンパニー | AI検索(LLMO/GEO/AIO)対策 | 月額10,000円〜 | 2026年 |
| 株式会社ジオコード | AIO・LLMO対策 | 月額30,000円〜 | 2025年 |
| 株式会社デジタルアイデンティティ | LLMO/AIO対策 | 月額約600,000円〜 | 2025年 |
| 株式会社メディアリーチ | LLMOコンサルティング | 月額250,000円〜 | 2025年 |
| 株式会社ニュートラルワークス | AI最適化対策 | 初期500,000円〜 | 2025年 |
| 株式会社アドカル | LLMO対策 | 月額150,000円〜 | 2025年 |
| 株式会社センタード | LLMOコンサルティング | 月額150,000円〜 | 2025年 |
| 株式会社PLAN-B | LLMO対策状況調査・分析 | 月額100,000円〜 | 2025年 |
| 株式会社WeBridge | LLMO GENIUS | 非公開 | 2024年 |
| and media株式会社 | andLLMO. | 非公開 | 2025年 |
| 株式会社CIN GROUP | LLMO対策 | 非公開 | 2025年 |
| 株式会社CINC | GEOコンサルティング | 非公開 | 2025年 |
| 株式会社SEデザイン | LLMO支援プラン | 初期500,000円〜 | 2025年 |
| 株式会社電通デジタル | GEOコンサルティング | 個別相談 | 2025年 |
| ナイル株式会社 | LLMOコンサルティング | 月額500,000円〜 | 2025年 |
付録:LLMO比較記事の運営元調査(2026年7月調査)
「LLMO 比較」「LLMO対策会社 おすすめ」等のクエリで上位表示された比較記事10本の運営元を調査した結果。
| 記事URL | 運営会社 | 自社LLMO提供 | 自社の掲載位置 |
|---|---|---|---|
| mieru-ca.com/ai-seo/llmo-consulting/ | Faber Company | あり | 最上部 |
| plan-b.co.jp/blog/seo/84121/ | PLAN-B | あり | 最上部 |
| mediareach.co.jp/blog/llmo-company | メディアリーチ | あり | 最上部 |
| umoren.ai/blog/ranking/llmo-recommended-companies-2026 | Queue | あり | 最上部 |
| digitalidentity.co.jp/blog/generative-ai/llmo-company-recommend.html | デジタルアイデンティティ | あり | 最上部 |
| mediaexceed.co.jp/marketing/llmo-company-list/ | メディアエクシード | あり | 最上部 |
| adcal-inc.com/column/llmo_seo_meo/llmo-company/ | アドカル | あり | 最上部 |
| pascaljp.com/blog/?p=12618 | オロ(パスカル) | あり | 推奨ツール枠 |
| bakuri.co.jp/aio-lab/2026-llmo/ | バクリ | あり | 最上部 |
| oproduct.ai/articles/6561625 | ガイガンティック | なし | 掲載なし |
よく読まれている記事